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湿った大雪ほど手に負えないものはない。
冬の相棒、ホンダの9馬力の除雪機も、
投雪口がすぐに詰まってしまい役に立たない。
仕方がないので、ある程度は人力で除けてはみたものの、
それも追いつかないほどの降り方である。
気温は夜になってもさほど下がらないのでぐちゃぐちゃのまま。
店の駐車場は輪立ちが固まりハンドル操作もままならなくなっていた。
29日の日曜日の午前2時半、起きてみると空気が氷点以下だろうと思われる程に冷たい。
除雪機が使える気温である。
40人前の蕎麦を打ちあげてから早速除雪に取り掛かる。
雪の表面はカチカチに凍っているが内側はそうでもない。
オーガという雪を削る回転刃の歯が立つぎりぎりの硬さ。
休日の早朝7時からお隣には申し訳ないが、
ガリガリと結構な騒音を立てながら、1時間ほどでほぼ平にできた。
除雪機の無い御宅や、重機を頼めないところは大変だろう。
11月にこの雪の降り方は本当に異常である。
札幌も幹線道路以外は酷い状況とニュースが伝える。
市の除雪対策責任者は、溶けると思ったみたいなコメントをしていた。
そうだよねと分からんわけではないが、
温暖化が進んでいる今は過去のデーターが通用しない場合がある。
湿った大雪も立派な災害。
その都度きちんと対処しなければ大変なことになるという良い例。
それにしても昔はこんな雪の積もり方は無かった。
明日は雪になるかもしれないよと、
毛布が一枚増えた布団にもぐり込んで目を覚ますと一面の銀世界。
1,2回は溶けてグチャグチャになったが、
案外静かに根雪になったものだ。
少なくとも今の様な冬の初めのドカ雪はなかったような気がする。
シンシンと空気は凍れ、シンシンと雪は降り積む。
やはり冬はそんなのがいい。
ガラッと話は変わり、皆さんは鶏皮をどうやって召し上がっていますか?
圧倒的に多いのは捨ててしまう派だろう。
鶏胸をけっこう使う当店は鶏皮も大量に出る。
カリカリに揚げたり、茹でて野菜に混ぜポン酢で食べたりと限られる。
定休日の月曜、昼から返しの仕込みと鶏胸の切り込みをやる。
鶏胸肉2キロ分の鶏皮と、冷凍してた鶏皮を合わせると300グラムぐらいの量が発生。
先ずは茹でて冷水に放つ。
皮の内側のベロベロの脂っぽい層をこそげ落としてから、
軽く水気を切りくるくる巻いて3ミリ程の細切りに。
多めの胡麻油にニンニク生姜のみじん切りと一緒にさっと炒め、
コチジャンに醤油と日本酒を加えた合わせ調味料を、
油が跳ねるのを一切気にしないでドバッと入れ、
仕上げは葱の縦細切りを加えて完成。
何かもう一工夫足りないなと思いながら2階に持っていくと、
揚げ春巻きの用意をしているという。
ならば具材としてちょうどピッタリ。
酒の肴にもご飯のおかずにも良い一品が偶然出来上がった。
自分ぐらいの年代の特徴かもしれないが、
食べることが出来るモノを捨てることに抵抗がある。
鉄腕ダッシュというテレビの番組。
ゼロ円食堂とかのコーナーで捨てる食材を集めて料理する。
出演はTOKIOのメンバー。
本気でやっているのが伝わってくる気がするのは自分だけか。
こんな良いお手本の放送を見ながら終わった途端に、
スーパーの半額や20パーセント割引の出来合いのおかずを買いに走る主婦。
料理とは想像力が産み出すもの。
冷蔵庫にある物や野菜のストックで作り上げるのが料理の醍醐味。
そんな賢い主婦が増えてくれれば、この地球の温暖化も少しは防げる。





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11月23日は勤労感謝の日。
通常であれば月曜日なので委細構わず定休日の札を出していた。
だが夫婦二人営業に少し慣れたせいもあり、やって見ることにする。
ホームページと店内掲示で営業の案内はしたものの、
5.6人しか入らないかもしれぬと思いながら暖簾を出した。
すると天気も良いせいもあったのか次々とご来店。j
特盛、大盛の注文が多かったために1時半過ぎには蕎麦も底をつく。
予定通りに早めの売り切れ仕舞いとする。
明日の休みは、揚げ蕎麦作りと辛汁の仕込みをしなければならない。
天蓋と換気扇の掃除もあるので結構忙しい。
いつもの朝よりはちょっと遅めの4時にはモソモソと起き出す。
朝起きは全然苦にならない。
休みだからといって遅くまで寝ていられるタイプではない。
休みの日も同じ時間に起きて体を動かした方が楽なのだ。
勤勉だねと思われそうだが、ただ自分のリズムを崩したくないだけの不器用の仕業。
天ぷらが多く出る季節になると天蓋の内側が油で汚れる。
この汚れはお客さんから直接見えないので、
手を抜こうと思ったらそうできるし、衛生管理上も何の問題も無い。
今週は、まっ、いいかで済ますことが出来る。
だがそれが出来ないのですな。
年を取ると高い所の作業は気をつけなければならない。
落下の危険はもとより、バランスを崩して肩や腰を捻ってしまう。
ようやく脚立をしまって外を見ると、湿った雪が間断なく降っている。
午後になっても降り止む様子はない。
除雪機のバッテリーの充電にGSに走る。
フル充電には24時間かかる。
昨日のうちにやっておけばいいものをと、
自分を叱るのはこんな時。
水曜の営業日、外に出てみると膝下までの結構な積雪。
ママさんダンプも去年壊れたまんまで買いそびれていた。
ゴム長も穴が空いて使いものにならないのに買ってない。
要するに何かも準備ができていないところにこの大雪。
人力でのスコップを使う雪かき作業。
3,4台停められるスペースを開けて開店する。
こんな天気にかかわらず18名様とまあまあの混み様。
感謝感謝!
週末にはまた低気圧がやってきて、大荒れの天気になるという。
準備万端怠りなく迎え撃たなければならない。
11月に入りお客様の数が今一つ伸びない。
雨の日が多いせいもあるかもしれないが、
すぐ隣で行われている浄水場の工事の影響も少しは考えられる。
静かな場所で、海を眺めながら、ゆっくりと蕎麦を楽しめるというこの店の最大の売りが、
行き交う工事車輛やバックホーが地面を叩きつける音などで消されてしまう。
来年の3月までかかるそうなので今しばらくの辛抱である。
さて、数年前から使っている老眼鏡。
弦が曲がったりネジが緩んだりですぐずり落ちてくる。
ある程度は自分でも直せるが、手に負えない状態になってしまったので眼鏡屋さんに持っていく。
テキパキと修理をし、綺麗に洗浄をしてくれる。
代金はと聞くといりませんという。
7.8年前にこのメガネを買って以来、何度も修理してもらっている。
いくら次の購入の動機に繋がる仕事とはいえ、
15分以上タダ働きをさせてのことである。
今度メガネを買う時はこの店にしようと心の中で頷く。
翻って自分の蕎麦屋はどうだろうかとしばし反省。
忙しさにかまけておざなりの接客になっていないか。
食洗機の導入によって余裕ができた時間は、
次回の来店に繋がるような、心のこもったサービスと、
店の個性を売り込むことに使わなければならない。
2日ほど前、TVや新聞で見かけたような気がする70代後半のお客様がご来店。
何処かの大学教授かもしれない。
紋別空港からまっすぐこの店にきたという。
辛味大根せいろを注文され、食べている途中で大根の追加が欲しいと言われる。
小皿に入れて持っていくと、蕎麦の上にふりかけて召し上がっている。
ほーっ、なかなか通な食べ方をされると思っていると、
蕎麦の食味、茹で方、汁の濃さ、すべてのバランスがちょうど良く美味い。
1時を回ったところで他のお客さんが引けた店内を見渡し、
この蕎麦だったら東京では行列ができると、お褒めの言葉をいただく。
日本酒の品揃えはと聞かれ、
先月仕込んだ「南」や「大信州」、「雪の茅舎」などいづれも本州の冷おろし系の酒をお見せする。
すると、蕎麦粉を幌加内にこだわるのであれば、酒も地酒を提供すべきだと仰る。
幌加内の近くであれば、増毛の「国稀」、オホーツクのこの地ならば根室の「北の勝」、
旨い地酒があるのに気が付かなかった。
良いヒントをいただいた。
日曜の昼下がり、帰りの運転は奥さんに任せ、
蕎麦前と称される日本酒を1,2合軽くやっつけてから蕎麦を手繰る。
そんなお客さんが増えてくれれば蕎麦屋冥利に尽きる。
朝のそば打ち作業の際、いつも聞いている某局のラジオで「納豆キャンペーン」をやっている。
栄養満点な北海道産大豆を使った納豆を、もっと食べましょうという訳である。
自分は子供の頃はどちらかというと苦手な方だった。
味とかの問題ではなく、茶碗や箸に付いた匂いが気になった。
当店の品書きで納豆が登場するのは「熱盛り温玉納豆蕎麦」だけである。
熱々に茹で上げた蕎麦の上に、天かす、葱、温泉玉子、花鰹、ひきわり納豆、
真ん中に大葉の細切り少々に生姜の擦り下ろしをポンと載せ、
これまた熱々の汁をひたひたに注いだ一品。
納豆好きの皆さんには好評をいただいている。
冷たいバージョンはないのかと何回か言われたことがあった。
そこに今回のラジオのキャンペーンである。
それに便乗するということではないが新品書の予定。
極シンプルに、納豆、葱、天かす、花カツオ、
真ん中にたっぷりの刻み海苔を置いたところに冷たい汁をかけ、
わしわしと豪快にかき混ぜて食べていただく。
薬味はわさびか練り辛子のどちらか。
辛子の方が面白いかもしれません。
今週からお出しする。
さてさて、冬季限定の舞茸天蕎麦は相変わらずの人気。
大きめに引き裂いた舞茸の天ぷらが、ドカンと四つ載っかる。
ただ気になっていたのは下がってくる丼に浮かぶ衣の多さ。
蕎麦屋の天ぷらは衣で食べさせると言われているが、
余り過ぎるのも考えもの。
そんな時には日本一の天ぷらの名店「天ぷらこんどう」の近藤さんに聞いてみる。
と言っても電話するのじゃないですよ。
愛読書「天ぷらこんどうの仕事のすべて」を開く。
この本は、全くここまで書いていいのかというくらい、
揚げる温度、衣の濃さ、揚げ際の見分け方、などなど懇切丁寧に書かれている。
定休日の厨房で、基本に帰り舞茸を揚げてみる。
何度かやっているうちに納得のいくものができた。
天ぷらは衣と油を使った蒸し料理と近藤さんは言われる。
舞茸もその成分はほとんど水分。
旨味の元である独特の香りを閉じ込めて揚げるためには、
揚げ過ぎは禁物。
衣はカリッ、噛めば舞茸の汁がほとばしり出る、
しかも適当に衣が蕎麦に絡む揚げ方、
今までよりは少々手間がかかるが、やって見ることにする。
独学の楽しみ、ここに極まれりという感じですな!





今年の春あたりからだ。
食事の度に頻繁に喉つまりを起こすようになったのは。
年を取ると唾液の分泌が少なくなるのは分かっている。
だから少しづつ食べればいいのだが、若い時と同じ感覚で頬張るから詰まる。
時間に追われて食べる朝と昼が特にひどい。
水とお茶を用意して置いて一口毎に流し込むと少しはよい。
固いものが詰まるかというとそうでもない。
お粥でも詰まるときがある。
中でも一番詰まりやすいのが蕎麦。
以前は蕎麦の早食い競争に出ることができるぐらいの勢いで食べることができた。
碌に汁もつけずにワシワシと平らげていた。
だが今は一口ごとにコヒーカップに入った水を飲んで流し込む。
落語の世界のご隠居じゃないが、
蕎麦はモグモグ噛むもんじゃねえ、つっーと勢いよく手繰り込んで食べるもの、
だから蕎麦屋には楊枝が置いてないと、
江戸前の蕎麦を自称するならば、
そんな粋な食べ方をしなければならないのに、まことに情けない己の様子である。
家で食べる分についてはまだいい。
詰まったらトイレに駆け込んで吐き出すという究極の解決策が取れる。
外で食べるとそんなことがままならない場合が多い。
月に1、2回の買い物後の食べ歩きもしなくなった。
コンビニでパンを買って車の中で走りながら食べる。
パンはなぜか詰まりにくい。
一番安心して食べられるのはバターロール。
クロワッサンもいいが、破片がシートを汚す。
サンドウイッチや調理パンも同じ理由で却下。
念のためスポーツドリンクを常備しているが、
結構水気なしに食べることができるのである。
このままこんな状態が続くと、いわゆる「刻み食」とかいう状態に入るのだろうが、
真っ平御免である。
幸い自前の歯はまだ相当残っている。
噛んで食物を摂取出来なくなったら、人間も動物も命の終わりに近づいた証拠。
喉を詰まらせながらも、噛んで噛んで与えられた命を全うする。
柄にも無くそんな気持ちにさせたのは日曜の朝の一本の電話。
癌で療養中の網走のA司祭から、容態が変わったので教会を離れるという。
たまたま天ぷらを揚げている時だったので直接その電話に出れなかった。
小一時間後、お客さんの切れ目を待って携帯にかける。
車の後部座席に横になって札幌の病院に向かっていると言う。
呼吸も少々辛そうなので、詳しい状態も聞かずにただ頑張ってと声をかけ電話を切る。
大量の出血とかがあったのかもしれない。
直腸癌の末期だと聞き、10月に網走に訪ねて行った。
短い時間だったけれど、紋別での昔話などをいろいろと話すことができた。
御本人も奥様も、全てをイエス様に委ね切っている。
何だかこちらが逆に励まされるようなひと時を過ごした。
どうか回復されますように。
痛切に祈る。






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