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昨年50数年振りの再会をした幼馴染のE君。
せっかく会いに来てくれたのに営業日だったのであたふたと別れてしまった。
そんな後悔の念を埋めてくれるかのように、
はるばる京都からまた訪ねてきてくれた。
今回はちょうど定休日の火曜。
掃除やら汁の仕込みやらを月曜日に全部終わらせ、
二人だけのクラス会を昼から開催した。
自分が紋別へ中学2年で転校するまでの間、
旭川は神居小中学校でほとんどクラスは一緒。
いつもお互いの家を行ったり来たりする仲良しだった。
だが少々ボケかけた頭は思い出話に少しつまずく。
ふと彼を見ると子供の頃と同じ仕草で髪を撫でつけている。
指の反り返り加減、手のひらを頭に当てる角度、あの頃と同じ。
そう思った瞬間、記憶の糸がほぐれ出した。
楽しかった神居での暮らしが次から次へと蘇る。
本当は翌日も休みにして思い切り飲みたかったが、
そうもいかず、心を残しながら9時に別れた。
有難う!修ちゃん!またいつか会おう。
昔話といえば20年以上も前の紋別港祭り。
ヤンキーの兄ちゃんたちの乗ったシャコタンの車が、
爆音を轟かせながら会場近くの国道を行ったり来たりしていた。
交差点の信号が赤になると当たり前だがきちんと止まる。
祭り見物の大勢の人たちの視線が一斉に集中すると、
それまでの威勢の良さはどこへやら、
赤の間、恥ずかしそうに下を向いている。
地方のヤンキーはとてもシャイだったのです。
先日砂川で悲惨な交通事故があった。
時速100キロ以上で赤信号の交差点に突っ込むなどは人間の所業では無い。
紋別でも自分が見た時は黄色だったと言わんがばかりに、
赤の交差点を速度を上げて通り抜けようとする車が結構多い。
だから最近は青信号に変わっても、
そんな馬鹿者どもがいないかどうか確かめてからアクセルを踏む。
視力の衰えと共に運転することが昔のように楽しくなくなってきた。
これではいかんなと思い、メガネ屋さんで目の検査をしてもらう。
遠視が2度ほど進んでおり、今のメガネでは辛いでしょうとのこと。
しょうがないので新調することにした。
これでまた遠道を走ることが楽しくなれば安い出費である。














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ご常連のFさん。
いつもの注文は『えび天ざる!大盛!!』
当店の品書きに『えび天ざる』なんていうのは無いのだが、
『せいろ』の『大盛』に『えび天別盛』のFさんだけの暗号。
だが昨年の秋あたりから注文が変わってきた。
まず『大盛』が外れた。
冬には『えび天』も外れ、『彩りきのこ並盛』になった。
何回かそんな注文が続いた時に何となく気になり、
『体の調子、どうですか?』と聞いたところ、
血糖値が高くて医者から『えび天禁止令』が出たそう。
『ほんとは、えび天食いたんだけど我慢するわ!』と。
近頃は『せいろ大盛』に注文が定まった。
昨日の日曜の昼時、 Fさんご来店。
席に着く前にカウンターで注文されるのがFさんの常。
『せいろ大盛!』に、パートのKちゃんが『えび天、付けますか?』と重ねる。
本日の注意事項として伝えていなかった店主が悪い。
『えび天はいらん』と何とも寂しそうなFさんの返答。
Kちゃんに実はこうなんだとその後話した。
お帰りのお会計の際のKちゃんの言葉、『さっきはすいませんでした。お体、お大事にしてくださいね!』
どんなに忙しくても、そんな一言を付け加えることのできる『心づかい』の店であって欲しい、
店主の思いが従業員に伝わっていると感じた瞬間であった。
午後1時を少し回った頃、『心づかい』が全く感じられない場面に出くわす。
『町内の市会議員のSです。市長候補のMさんの奥さんと挨拶に来ました!』
『これ、貼っといて。』と市長選挙用のポスターを渡し、
二組も待っているお会計の列の先頭に割り込み、そう言い放って帰って行った。
自分が会計をやっていたのなら、『ちょっと待てよ!お先のお客様がいるだろ!』
と言ったところなんだが、あいにく蕎麦を茹でている最中、あららという間の出来事だった。
大体が選挙の挨拶回りに、午後1時頃の飲食店に来るのが間違いである。
店やお客さんの迷惑にならぬよう、最後尾に立つという意識が全く無い。
帰った後、一人のお客様が言った。
『何なんだよ!あの態度は失礼だよ全く!!』
満席に近いほかのお客様も同じ思いだったらしく、『そうだ!そうだ!!』で盛り上がる。
心づかいの無い挨拶回りが、確実に10票以上の票を減らすことになる見本である。
いただいたポスターは、申し訳ないが即ゴミ箱行きとなったのは言うまでもない。



『四月の雨は、五月の花を咲かす』なんていう英語のことわざが頭に浮かぶ。
四月の雪や冷たい雨を我慢したのに、五月もそのまんま。
まったくもってどーしたんだ!この天気。
毎朝3時半か4時には外に出る。
いつもの年であれば、うるさいぐらいの小鳥のさえずりが聞こえてくるが、
今年はカラスの鳴き声だけ。静かなもんである。
昨日夕方、店前の浄水場の草地に4頭もの鹿がいた。
この山ん中でも、団体で見かけることは珍しく、餌が不足しているのかもしれない。
何十年ぶりかの悪天候の中のゴールデンウィーク。
まずまずのお客様の入りだったが、地方の方が極端に少なかった。
あちこちの峠で積雪状態であればそれも仕方がない。
温かい蕎麦の注文の比率が徐々に減ってくるのもこの季節。
だが、7割は温蕎麦。
そんな中、4月の末からお出ししている『冷しかしわ』が大苦戦である。
夏季限定のこの品書き。
待ってました、とばかりの売れ行きになるのが例年の常。
本日現在、忘れた様にしか注文が入らない。
鹿児島産の鶏胸肉を、固くならないように蕎麦のかけ汁でやわやわと煮込む。
その煮込み汁の油分などを丁寧に濾し、味醂、せいろの汁を加えて冷やかけ汁とする。
鶏胸を5枚載せて、水菜、晒し葱、椎茸の甘煮などにおろし生姜を一つまみ添えると完成。
さっぱりと召し上がっていただける一品となっている。
もうしばらくはこの低温状態が続くそう。
やけのやんぱち、やせ我慢の『冷しかしわ!』。
ご注文の声をお待ちしています。


 
実は、パスタが大好きです。
蕎麦屋なんだから、『てやんでぇ~、音を立てて啜っちゃいけねえだと!
んな西洋の蕎麦みたいなモン、食ってられるかよ!!』と啖呵のひとつでも斬ってお断りするのが筋だと思うが、
フォークにクリクリと巻きつけながら結構頻繁に食べたりしている。
春、雪の下から一番最初に姿を現すのが蕗の薹。
今年のように季節外れの雪が積もり、
やれやれという気持ちを鎮めてくれるのも、この若緑色の魔法。
店横の崖地には数え切れないほどの丸い新芽が出てきた。
陽を浴びてしまうとエグミなんかが出やすくなってしまうので、
掘り起こすようにして袋一杯収穫する。
作るのは蕗味噌。
さっと茹でてから、粗微塵に刻み太白胡麻油で炒めて合せ味噌を絡めるだけ。
ほろ苦さが何とも言えず旨い。
この苦さの成分に、冬の間に弱った体を元気にさせる栄養素が含まれているそう。
季節季節の旬のものを有難く頂いていると、健康でいられることを実感できる。
ご飯の伴には最強の蕗味噌。
パスタの具材に使えないかと考えた。
蕗味噌を生クリームでのばし、少し煮詰めてソースにする。
新たに採って、さっと茹で微塵に切った蕗の薹に、たっぷりのパルミジャーノレジャーノを混ぜ、アルデンテニ茹で上げたパスタを絡めるだけ。
これが絶品。
身内で食べるだけでは勿体無いので、来年はご提供しようと思っている。
お遊びですので、その頃にご予約を頂いた方のみ。
蕎麦屋のパスタもなかなかのものです。
この季節に別れは付き物。
ご常連のお客様も、何人かはこの地を離れられた。
その中でも、ひと際別れが切なかったのが、Oさん御一家。
5年前の開店当初からのお客様だった。
お子さんが二人。
せいろと蕎麦湯が大好きで、嬉し涙で蕎麦屋を泣かせるお子達だった。
ご主人が警察官、新任地は札幌厚別だそう。
『いじめ』なんかに遭うことなく、真っ直ぐ成長されることを祈る。
自分は中学2年の時、父親の仕事の関係で旭川から紋別に転居した。
強烈な『いじめ』の洗礼を受ける。
たまりかねて、グループの元締めに決闘を申し込んだ。
場所は、校舎2階の階段踊り場。
方法は相撲。
相手は自分より10センチ以上背が高い。
顎の下に頭を付けて、内掛けだったか外掛けだったか忘れてしまったが、
足技を使って倒した。
クラス全員が観客の中での勝利。
決闘相手の大森君とはそれ以来無二の親友となる。
彼は過度の飲酒がたたり、10年ほど前に命を絶った。
亡くなる前、何回か我が家を訪ねてきた。
『酒、飲ましてくれよ~』という懇願を幾度か断るうちに来なくなった。
忘れていたわけではないが、頭の端っこに追いやって数年後、
訃報が届いた。
最近、彼の夢をよく見る。
心の底に冷たくあしらった自責の念があるためだと思う。
映画を見る年齢になって以来、
『決闘物』の西部劇が大好きだった。
『ゲイリークーパー』の『真昼の決闘』。
『カークダグラス』の『OK牧場の決闘』。
ちょっと大人数の決闘になるが『ジョンウエイン』がデイビークロケットを演じた『アラモ』。
『義』や『信念』のために命を懸ける。
そんな鮮烈な生き方を忘れるんじゃないよと、
あいつは夢の中で言っているのかもしれない。
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