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食に関するエッセイ、特に蕎麦についての珠玉の名文を多数遺した故杉浦日向子。
彼女によると蕎麦好きには二つのタイプがあるそうな。
そばを食べるのが好きから始まり、ついには自分で打ってしまうタイプ。
このタイプの人達は真剣勝負を挑む武芸者のように、
眉間に皺を寄せながらいろんな蕎麦屋を食べ歩く。
もう一つのタイプは、蕎麦屋で憩うことを最重要視する。
板わさや焼き味噌など定番のつまみでお酒を二合ほどやっつけ、
締めのせいろをささっと手繰り、
勘定は釣りの要らぬように卓に置いて、
『ごっそうさん!』と春風のように爽やかに出て行く。
店主学生時代、東京の蕎麦屋にはその様なおっさんやじいさん達がいっぱい居た。
『かっこえぇ~』。
年を取ったらそんな蕎麦っ食いになろう!と思っていたが、
まさかの食べさせる側の蕎麦屋になろうとは。
だから自分は蕎麦好きよりは蕎麦屋好きである。
憩える蕎麦屋を作りたい、この商売を始めた主なきっかけです。
そんな当初の目論見が達成できているか否か自信は無い。
まず第一にこの地方には蕎麦屋でお酒を楽しむという習慣が無い。
移動手段が車だけという制約がそうさせているのかもしれません。
だったら酒抜きで憩える店にしようと考えた。
煩わしいことだらけの日常からの一時の脱出の場。
窓を広く取り、いっぱいの空と海が店の景色。
時計を置かない。
女性のお客様向きに甘味物の品揃え。
などなど企ててやってきましたが、憩えていただいているのでしょうか。
手打ち蕎麦屋不毛の地と言われてきた北見に新しい店が二件出来た。
早速行ってきましたねぇ。
蕎麦はそれぞれにまぁまぁです。
店の造りは今様の小洒落たもの。
建築資金の回収が大変だろうなと、あらぬ方向に思いが行き落ち着かない。
二件ともの共通点、それは午後3時で営業終了。
人件費などを考えると当然の結果かなと。
ここにもこの地の蕎麦屋の特色が。
どうぞ皆さん、たまには車を捨てて歩いて来てみませんか?
お天道様が高いうちに蕎麦前を楽しむことは、オトナに許された特権なんですぞ!
彼女によると蕎麦好きには二つのタイプがあるそうな。
そばを食べるのが好きから始まり、ついには自分で打ってしまうタイプ。
このタイプの人達は真剣勝負を挑む武芸者のように、
眉間に皺を寄せながらいろんな蕎麦屋を食べ歩く。
もう一つのタイプは、蕎麦屋で憩うことを最重要視する。
板わさや焼き味噌など定番のつまみでお酒を二合ほどやっつけ、
締めのせいろをささっと手繰り、
勘定は釣りの要らぬように卓に置いて、
『ごっそうさん!』と春風のように爽やかに出て行く。
店主学生時代、東京の蕎麦屋にはその様なおっさんやじいさん達がいっぱい居た。
『かっこえぇ~』。
年を取ったらそんな蕎麦っ食いになろう!と思っていたが、
まさかの食べさせる側の蕎麦屋になろうとは。
だから自分は蕎麦好きよりは蕎麦屋好きである。
憩える蕎麦屋を作りたい、この商売を始めた主なきっかけです。
そんな当初の目論見が達成できているか否か自信は無い。
まず第一にこの地方には蕎麦屋でお酒を楽しむという習慣が無い。
移動手段が車だけという制約がそうさせているのかもしれません。
だったら酒抜きで憩える店にしようと考えた。
煩わしいことだらけの日常からの一時の脱出の場。
窓を広く取り、いっぱいの空と海が店の景色。
時計を置かない。
女性のお客様向きに甘味物の品揃え。
などなど企ててやってきましたが、憩えていただいているのでしょうか。
手打ち蕎麦屋不毛の地と言われてきた北見に新しい店が二件出来た。
早速行ってきましたねぇ。
蕎麦はそれぞれにまぁまぁです。
店の造りは今様の小洒落たもの。
建築資金の回収が大変だろうなと、あらぬ方向に思いが行き落ち着かない。
二件ともの共通点、それは午後3時で営業終了。
人件費などを考えると当然の結果かなと。
ここにもこの地の蕎麦屋の特色が。
どうぞ皆さん、たまには車を捨てて歩いて来てみませんか?
お天道様が高いうちに蕎麦前を楽しむことは、オトナに許された特権なんですぞ!
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20日の日曜日、開店と同時にほぼ満席。
その後も常に2名様、3名様が空席待ちの状態が2時過ぎまで続いた。
パートさん2名と店主は狭い厨房の中を走り回る。
時節柄、暖かい蕎麦の注文が多くなるこの時期、
尚さら混雑に拍車をかける。
五口のガスコンロには全部鍋が乗っかり、
お出しする順番に火力を調整、投入する食材を準備する。
そんな様子を右目で確認しながら左目で天麩羅を揚げる店主。
二つ先三つ先の注文を念頭に置き、どのようにしたら1分でも早く注文の品をお出しできるかを考えての作業。
結構な緊張感を強いられる仕事はそんなに長続はしません。
時間にして2時間、席数で数えて3回転の36名様、
それが当店の能力の限度だと思ってます。
限界を超えての仕事はしない、最初から自分の中で決めていたこと。
洗い物の山の中からは美味しい蕎麦は生まれない。
蕎麦が無くなったら追い打ちすればいいしょ,
と言われることがよくある。
今は設けていない中休みを取り、
その間に片付けをして蕎麦を打つことは可能です。
だがしかし、店主の年齢を考えると、
昼の営業でほぼ燃焼尽くした体と頭に、
夕方からの開店に備え再び火を焚きつけるのはなんとも辛い。
そんなわけで度々の売り切れ早仕舞い、
平にご容赦願いたくお願い申し上げます。
その後も常に2名様、3名様が空席待ちの状態が2時過ぎまで続いた。
パートさん2名と店主は狭い厨房の中を走り回る。
時節柄、暖かい蕎麦の注文が多くなるこの時期、
尚さら混雑に拍車をかける。
五口のガスコンロには全部鍋が乗っかり、
お出しする順番に火力を調整、投入する食材を準備する。
そんな様子を右目で確認しながら左目で天麩羅を揚げる店主。
二つ先三つ先の注文を念頭に置き、どのようにしたら1分でも早く注文の品をお出しできるかを考えての作業。
結構な緊張感を強いられる仕事はそんなに長続はしません。
時間にして2時間、席数で数えて3回転の36名様、
それが当店の能力の限度だと思ってます。
限界を超えての仕事はしない、最初から自分の中で決めていたこと。
洗い物の山の中からは美味しい蕎麦は生まれない。
蕎麦が無くなったら追い打ちすればいいしょ,
と言われることがよくある。
今は設けていない中休みを取り、
その間に片付けをして蕎麦を打つことは可能です。
だがしかし、店主の年齢を考えると、
昼の営業でほぼ燃焼尽くした体と頭に、
夕方からの開店に備え再び火を焚きつけるのはなんとも辛い。
そんなわけで度々の売り切れ早仕舞い、
平にご容赦願いたくお願い申し上げます。
開店前に確かめることの一つに店の匂いがある。
理想は何も匂わないことだが、
蕎麦屋には付きものの匂いがある。
出汁と醤油の混ざったもの、いわゆるかけ汁の匂い。
日本人なら誰でもが大好きで、食欲が出てくる匂いです。
この匂いにもピンからキリまであって、
良い出汁と良い醤油でなければ良い匂いは生まれない。
今の時代、出汁を引いたことの無い主婦がたくさん居るそうな。
インスタントのダシでは、思わずお腹が鳴るような匂いにはなりません。
さらにこのダシの欠点。
薄味に仕立てることが難しい。
きちんとした材料で引いた出汁はその旨みで他の旨みを必要としない。
ところが即席のダシは旨みの深さが無いため、
砂糖やら醤油やらをいっぱい使わなければ旨みを感じられないのです。
最近の子供たちの濃い味嗜好はこんなところにも原因があるのでは。
滅多に買わないけど、袋入りのポテトチップスを食べることがある。
塩味もそうですが、もろにグルタミン酸だのイノシン酸だのが舌を直撃する。
最初の1,2枚は確かに美味いけどそれ以上は困難。
そんな世代の人達を相手にしなければならないようになったら、
即、『にの字』閉店です。
来店された若いお客様が『あっ、いい匂い!ばあちゃん家の匂いだ!!』
なんて言ってくれたもんなら、嬉しくて厨房で踊り踊ってます。
理想は何も匂わないことだが、
蕎麦屋には付きものの匂いがある。
出汁と醤油の混ざったもの、いわゆるかけ汁の匂い。
日本人なら誰でもが大好きで、食欲が出てくる匂いです。
この匂いにもピンからキリまであって、
良い出汁と良い醤油でなければ良い匂いは生まれない。
今の時代、出汁を引いたことの無い主婦がたくさん居るそうな。
インスタントのダシでは、思わずお腹が鳴るような匂いにはなりません。
さらにこのダシの欠点。
薄味に仕立てることが難しい。
きちんとした材料で引いた出汁はその旨みで他の旨みを必要としない。
ところが即席のダシは旨みの深さが無いため、
砂糖やら醤油やらをいっぱい使わなければ旨みを感じられないのです。
最近の子供たちの濃い味嗜好はこんなところにも原因があるのでは。
滅多に買わないけど、袋入りのポテトチップスを食べることがある。
塩味もそうですが、もろにグルタミン酸だのイノシン酸だのが舌を直撃する。
最初の1,2枚は確かに美味いけどそれ以上は困難。
そんな世代の人達を相手にしなければならないようになったら、
即、『にの字』閉店です。
来店された若いお客様が『あっ、いい匂い!ばあちゃん家の匂いだ!!』
なんて言ってくれたもんなら、嬉しくて厨房で踊り踊ってます。
地元の食材を使うこと。
出来そうでなかなか出来ない。
カニやホタテは値が高く手が出ません。
何かないかなとあれこれ考えた結果、
ありましたねぇ~、いいもんが!!
これからシーズンを迎える『チカ』です。
仕入れは当店の世話人こと『K』さんの父君、
紋別港のチカ釣りではその名も知られた『Kじぃ~』に頼めば何ぼでも手に入ります。
さらに嬉しいことに中骨を取った背開きの姿で入れてくれることになりました。
あとは店で天ぷらに揚げるだけ。
その前に今の若い人達は食べない腹骨の小骨を丁寧に鋤き、
生姜の絞り汁と日本酒を混ぜ合わせたものにちょっと浸けて、
水気の多い魚ですので片栗粉多目の硬めの天麩羅粉を纏わせ油の中へ。
試食しました。
『旨い!』。
本州方面でよく使うキス天なんぞ問題にならい美味しさ。
形にバラツキがありますので小型のものは3枚、
大型は2枚が蕎麦の上に載っております。
どうぞオホーツクの海の恵みをお味わいください。
出来そうでなかなか出来ない。
カニやホタテは値が高く手が出ません。
何かないかなとあれこれ考えた結果、
ありましたねぇ~、いいもんが!!
これからシーズンを迎える『チカ』です。
仕入れは当店の世話人こと『K』さんの父君、
紋別港のチカ釣りではその名も知られた『Kじぃ~』に頼めば何ぼでも手に入ります。
さらに嬉しいことに中骨を取った背開きの姿で入れてくれることになりました。
あとは店で天ぷらに揚げるだけ。
その前に今の若い人達は食べない腹骨の小骨を丁寧に鋤き、
生姜の絞り汁と日本酒を混ぜ合わせたものにちょっと浸けて、
水気の多い魚ですので片栗粉多目の硬めの天麩羅粉を纏わせ油の中へ。
試食しました。
『旨い!』。
本州方面でよく使うキス天なんぞ問題にならい美味しさ。
形にバラツキがありますので小型のものは3枚、
大型は2枚が蕎麦の上に載っております。
どうぞオホーツクの海の恵みをお味わいください。
蕎麦を打つには、さほど力は要りません。
かえって余計な力は美味い蕎麦の邪魔になるばかりか、
毎日商売で打っている者の体を痛める場合がある。
どちらかと言うと腕力に任せて打つ傾向のある自分。
体のどこかがそのうち悲鳴を上げるなと思っていたが、
1か月ほど前からイヤな前兆があった。
手首や肘の痛みは蕎麦屋の職業病。
腰を痛めないだけまだましと、結構激しく痛んでも割り切っていた。
ところが2週間ほど前から指先の痺れが出現。
電気が走るみたいに右手の指先が常にビリビリ痺れている。
細かい仕事が上手く出来ない。
掃除機のフィルターを取り替えようとビスを外してみたものの、
直径3ミリ程のビスの頭を掴めない。
そして箸を使えなくなった。
箸捌きが3歳児と同じ。
多分手首や肘の関節が炎症を起こしているせいだと思います。
病院行きます。
早いうちに治療をし、あと2,3年蕎麦屋が出来る体を保ちたい。
同じ年代の知り合いに比べると、
まだまだ若いと思ってましたが、そんなことは無いようです。
使用頻度の多い部品はそれなりに老朽化。
長生きをしようとは考えてませんが、
『にの字』の蕎麦を食べたいという、
お客様のご要望に応えるためにも体の手入れ怠らず、
ですな。
かえって余計な力は美味い蕎麦の邪魔になるばかりか、
毎日商売で打っている者の体を痛める場合がある。
どちらかと言うと腕力に任せて打つ傾向のある自分。
体のどこかがそのうち悲鳴を上げるなと思っていたが、
1か月ほど前からイヤな前兆があった。
手首や肘の痛みは蕎麦屋の職業病。
腰を痛めないだけまだましと、結構激しく痛んでも割り切っていた。
ところが2週間ほど前から指先の痺れが出現。
電気が走るみたいに右手の指先が常にビリビリ痺れている。
細かい仕事が上手く出来ない。
掃除機のフィルターを取り替えようとビスを外してみたものの、
直径3ミリ程のビスの頭を掴めない。
そして箸を使えなくなった。
箸捌きが3歳児と同じ。
多分手首や肘の関節が炎症を起こしているせいだと思います。
病院行きます。
早いうちに治療をし、あと2,3年蕎麦屋が出来る体を保ちたい。
同じ年代の知り合いに比べると、
まだまだ若いと思ってましたが、そんなことは無いようです。
使用頻度の多い部品はそれなりに老朽化。
長生きをしようとは考えてませんが、
『にの字』の蕎麦を食べたいという、
お客様のご要望に応えるためにも体の手入れ怠らず、
ですな。