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ユネスコの世界無形文化遺産に『和食』が申請されることになったそうです。
世界中で一番健康的な日本食が登録されると、こんな嬉しいことは無い。
『和食』は引き算の料理。
素材の味を際立たせるためにいろいろな手間を掛け、
その痕跡を消して行く。
たとえば芋の煮っ転がし。
鰹と昆布で取った出汁の中で煮る。
芋の旨みが出汁の中に溶け出し、そのうち出汁の旨みを道連れに本体に戻ってくる。
そこにほんの少々の調味料を足してやれば絶品の芋の煮っ転がしの完成。
薄口醤油で仕上げれば、ただ茹でただけの芋に見えるところが、引き算の料理たる所以。
そんな料理の真骨頂が蕎麦ではないかと思う。
蕎麦と汁。
こんなに簡潔で潔い料理は他に無い。
蕎麦と汁、この二つだけで心もお腹も満たされる食べ物は他には無い。
だからこそ奥が深いのである。
『にの字』の蕎麦も汁もまだまだ発展途上。
『本枯れの節の旨み、ちょっと強過ぎたんで引いといたけど、
どっかな?』なんて台詞がさらっと言えるような、
舌の持ち主になりたいと思うのです。
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先週の金曜日昼過ぎ電話が鳴った。
『こちらミシュランガイドの編集部です。
先日は取材にご協力をいただきありがとうございました。』と言う。
去年の9月にミシュランの取材が来たことは、
この蕎麦日記でも報告しました。
15人しかいない田舎の高校のサッカー部の試合に、
セリエAのスカウトが来たようなもんだよと、書いた覚えがあります。
『最終確認なんですが、営業時間、定休日など取材時に伺ったことなどに変更事項は無いですか?』とおっしゃる。
『あ、ありませんが……』と店主。
『わかりました、では。』電話は切れた。
4月に北海道版のミシュランガイドが発刊される。
まさか星なんぞは付くことは無いと思うが、
選考の最後の網に掛かったことは確かかなと思う。
席数12のちんこいこの店。
メディァに取り上げられるのは大変ありがたいのだが、
4年前の開店以来、この店を支えてきてくださった常連のお客様が来づらくなる様な状態になっては困るのである。
ほどほどに混み合い、たまには厨房から出てきて、
『おっきくなったなぁ~、そっかぁ、4月から1年生か!』
なんておしゃべりが出来る店であり続けたい。
大好きな作家、椎名誠。
六本木にあるチョー有名な蕎麦屋に入ったときのこと。
誠ちゃんは『せいろ』連れ合いは『天せいろ』を注文。
先に運ばれてきた『せいろ』は三口で無くなり、
後はビバルディーの四季田園を30分以上聞かされたときの感想。
蕎麦屋にはテレビだ。
ずずっと蕎麦を手繰り込む音に合うのは、テレビから流れてくる『さざんかの宿』だそう。
気持ち分からんでもありません。
まっ、たかが蕎麦屋が、お高くとまるんじゃねぇ~よ、と言うことですな。
『あの有名な』とか、『究極のこだわりの』とかの前置きは、付けるつもりもないし欲しくもない。
『にの字』の一番嬉しい形容詞は『近所のふつうの美味しい蕎麦屋さん』です。
店主厳選のJAZZをゆったりと聞きながら,
窓一面の空に心を解きほぐし、ご家族みんなで蕎麦を楽しんでいただきたい。
『ご近所和み系蕎麦屋ランキング』なんていうものがあったら、
一番を目指したいなと思ってます。

北見は大町郵便局の裏手に出来た蕎麦切り『O』さん。
昨年12月に次いで二度目の訪問。
前回はせいろをいただいた。
蕎麦、汁ともに水準が高かったので、種物は如何にと鴨南を注文。
メニューの但し書きによると、仕込みの都合により限定12食とある。
鴨を限定にする店は珍しいので、どんなんだろうと待っていると15分ほどで運ばれてきました。
蕎麦の上に乗ってる鴨は『たたき』の状態。
脂身は2ミリ位を残し火を入れてある。
赤身はさっと炙っただけのロゼというかほとんどレア。
鴨南に付きものの焦がし葱も乗っていないシンプルなもの。
汁の表面には別に溶かした鴨油を加えたと思われるキラキラの膜が張っている。
こんな鴨南初めて見ましたねぇ~。
鴨大好きな自分にとって不味かろう筈はない。
葱が無いのは少々寂しかったが、汁も全部飲み干しました。
発想の転換。
鴨南の定義からの離脱。
にの字の鴨も火入れは最小にとどめている。
だがここまで思い切った鴨は出すことが出来なかった。
自分の舌を信じ、自分が美味いと思ったものを、
形式にとらわれない自由な発想で提供する。
負けたかもしれません。
手打ち蕎麦という大枠の中で、もっと冒険をしてみようかなと思ってます。
汁が美味ければ、余程の不味い蕎麦でなければ食べることができる。
真逆。
どんなに良い玄蕎麦を使い、匠の技を駆使して打った蕎麦でも汁が不味ければ美味いと感じることは出来ません。
蕎麦と汁とは車輪の両輪に例えられるが、
どちらかと言えば汁が勝っている方が、商売の成功の秘訣かも知れない。
主導権を奥さんが持つことが夫婦間の長持ちの要という。
それと同じだと思う。
目立ちたがり屋の蕎麦と陰で支える汁。
そんな汁に最近迷いが生じていた。
冷たい蕎麦用の汁、いわゆる辛汁は問題が無い。
かけ蕎麦などに張る甘汁の濁りが気になっていた。
賄いで作ってみても、食べ進むにつれて濁ってくる。
打ち方のせいで、蕎麦が汁の中で煮溶けているのか。
あるいは茹で方のためなのか。
あれこれ考えてみたが分からない。
2、3日前のこと。
毎朝の決め事のひとつに蕎麦と汁の味見がある。
一掴みの蕎麦を茹でてかけ汁を張ろうとした際、
ふと思い立って、もう一度蕎麦を洗い直してみた。
洗い桶に茹で上がった蕎麦を入れ粗熱を取って1回。
優しくぬめりを取るように洗って1回。
同じようにもう1回。
計3回洗い水が透き通るまで水を替えて作業をするのだが、
いつもより丁寧に洗ってみたところ、なんと食べ終わるまで汁は透き通ったまま。
最近の寒さで水温が下がったためかなんなのか、
ついつい洗い方が雑になっていたことが原因と判明。
4年目、5年目は仕事の慣れから来る油断が大敵。
しばらくぶりに登場した師匠が一言。
『よう~肝に銘じてな、忘れんようにな!!』
仕事に慣れるということは、
同じような手間暇を時間を掛けずに丁寧に出来るようになること。
手抜きになっちゃぁ~いけません。
思い知らされた出来事でした。




今年も残り半月ほどになってしまった。
年越し蕎麦の注文も入り始める。
掻き入れ時とばかりに張り切る蕎麦屋が多い中、
当店はあまり力を入れていない。
何故ならご家庭で蕎麦を茹でても上手に出来ないから。
蕎麦は大量のお湯の中で泳ぐように茹でなければならない。
大きな鍋で少しずつ茹でて下さいねと言ってお渡しするのだが、
少子化小家族のこのご時世、でっかい鍋なんぞありませんて。
せいぜい3リッターか4リッターの鍋で、
せめて1人前ずつ茹でてくれればいいものを、
みんなでいっしょに食べたいからと人数分をいっぺんに入れちゃう。
その結果、表面は茹っても芯は生煮えの蕎麦が出来上がる。
いつも店で召し上がってくれているお客様であればそれもご愛嬌。
気がかりなのは、年越し蕎麦だけのお付き合いの方が結構いらっしゃること。
『噂では美味いと聞いたけど全然駄目だな、こりゃ!』
そんな蕎麦を食べながら決め付けられたら立つ瀬がありません。
いっそお持ち帰りの年越し蕎麦なんぞやめちまって、
『せいろ』か『かけ』限定で大晦日の10時頃まで営業しようか、
なんて少し本気で考えてます。
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