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その店は網走の天都山の中腹に建つ。
2年ぐらい前の日記に書いた記憶があるので、覚えている方もいらっしゃるかもしれない。
わかりずらい場所にあるということでは当店と肩を並べる。
なにせ道々から100m以上林の中の砂利道を進んだところにぽつんとあるのだから。
昭和の時代の農家の一軒家を改装し使われている。
一番最初に訪ねた時には、親戚のばあちゃん家へ来た様な錯覚にとらわれた。
BGMは無い。
林を吹き抜ける風の音と、小鳥のさえずりが聞こえるだけ。
心なしか蕎麦を待つお客さんも寡黙がち。
蕎麦は旨い。
天ぷらなどの料理も丁寧に作られており、ご主人の几帳面さが伺える。
ゆるゆると流れる時間の中に身を置き、蕎麦を手繰ると心も体も癒されるような気がする。
そんな素晴らしい店のご主人と奥さん息子さんの3人が、わざわざ店を休んで先週の水曜日に訪ねてきてくれました。
たまたま時分どきを過ぎても、立て込んでいたためほとんど話はできなかったが、
握手をした手の平の感触が、自分と同じ蕎麦屋の手そのもの。
頑張ってやっていきましょうという気持ちが電流のように伝わってきた。
中村さん、ご家族の皆さん、ご来店ありがとうございました。
そしてこの蕎麦日記をご覧の皆様、そば切り温さんへ一度行ってみてください。
時計も携帯電話も車の中に置き去りにして、
ゆったりと蕎麦を味わってください。
これからの季節、牡蠣の天ぷらがおすすめです。
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携帯を持つようになってから、飲食店での女性お一人様が増えたそうです。
携帯電話を操作することで、他人の視線をシャットアウト出来るんでしょうな。
男であれば、スポーツ新聞を広げたりとか週刊誌を読むところですが、
女の人にはちょっと抵抗がある場の過ごし方。
合席勘弁の居酒屋でも、携帯をいじることで、
たちまちのうちに出来上がる自分ワールド。
隣の席との間隔が30センチでも気にならない。
生身の他人との接触を拒む強力な武器。
携帯もこんな使われ方をされようとは思ってもいなかったかも知れない。
『にの字』も女性お一人様が多い。
やはり皆さんそれぞれに携帯を操作されている。
自分も外でなにかを食べる時はほとんど一人。
店の造りを見たり、従業員の動きを見たりで携帯はポケットの中。
店主が苦労して造り上げたであろう店の雰囲気をまず味わう。
頼んだ品が出てきたら全精力を傾けてそれに集中。
一気に食べ上げるのが店主に対する礼だと思う。
先日こんなお客さんがいた。
カップルで来たのに席に着くなり携帯。
やがて男のほうが店備え付けの『深夜食堂』を読み出す。
注文のかき揚げ天蕎麦が運ばれても止めようとしない。
丼の近くまで引き寄せ、ページが閉じぬよう力いっぱい上から押し付けてる。
一口蕎麦を啜ってはしばらく本に戻る。
そんな食い方をしたら蕎麦も伸びるし汁も飛ぶ。
よっぽどげんこつ張って取り上げようと思ったが何とかこらえた。
ものの食べ方にはその人の人格が滲み出る。
特に女性の『ひとり食べ』には、大げさかもしれないが知性や教養が必要な気がする。
一人で食べても様になるというのが、大人の女の条件ですかな。
脱サラ系の蕎麦屋が失敗するケース。
蕎麦打ちは得意だが料理はイマイチで、
汁作りから始まって、打ち場の作業以外を奥さんに任せてしまうという、
味音痴の蕎麦屋が意外と多いのです。
『せいろ』と『かけ』だけで勝負するのは蕎麦屋の理想。
そんな商売は地方では成り立たない。
定番の種物をきっちりと完成させ、
他店には無い独自の味を打ち出すことが肝要。
『味』にはうるさいほうだったが、30年ほど前までは包丁なんぞ握りもしなかった。
離婚して1年ほど経った時、3人の子供たちが週末に泊りがけで遊びに来てくれるようになった。
困ったのが弁当。
長男がサッカー少年団に入っていたため日曜日には遠征がある。
一番最初に作ったのが怖いもの知らずのスコッチエッグ。
野球のボールみたいにでっかくなってしまったものがおかずで、
スクランブルエッグにマヨネーズを和えたサンドイッチを持たせた。
『にの字』の料理の原点。
後はテレビの料理番組と本が教科書。
そういう時間の中で蕎麦を打ち始めたのが15,6年前。
料理に目覚めたオッサンが蕎麦屋を始めちゃったというわけです。
人様に美味しいものをつくるは手間暇を厭わないが、
自分の腹を満たすために何かを作るということは絶対にしない。
理由は後片付けがめんどうだから。
そんな事をするぐらいだったら餓死するほうがマシと思うタイプ。
料理とは果てしなく出てくる洗い物を片付けること。
だから自分は料理好きではない。
10月の声を聞くと日本酒が美味しくなる。
あまり料理が好きでない店主が丹精込めた料理と、
厳選した日本酒が味わえる『にの字御膳』。
2日前までのご予約お待ちしています。

お江戸の時代から小さいことに粋を感じる気風があった。
小体だが洒落た料理屋とか、
小股の切れ上がったいい女だとか、
大きいことより小さいことの方が美を凝縮するという捉え方。
この感覚は現在でも日本人の心に受け継がれている。
蕎麦も小腹を満たすものと言われてきた。
三度の食事の合間にささっと空腹を埋めるもの。
人口比率で今の十倍以上の蕎麦屋があった所以でもある。
一人前の蕎麦の量も僅かだった。
大盛を売りにする蕎麦屋もあったようだが、
馬方蕎麦と呼ばれ下品なものとして差別されていた。
多く盛られた蕎麦はどんなに急いで食べたとしても、
上と下では風味が変わってしまう。
まして温蕎麦では何をか言わんやである。
作る側としての理想の注文は、
せいろであれば大盛よりは二枚。
温蕎麦大盛を頼まれるんであれば温かい蕎麦とせいろの組み合わせ。
それぞれ最高な状態で召し上がっていただけるよう時間差でお出しする。
丼もやたらと大きなものを使う店があるがあれは野暮。
片手で持てるくらいの器で、汁も口を付けて啜るほうが格好が良い。
勘弁してくれという召し上がり方もある。
女の人に見受けられるのだが、お玉に蕎麦を乗っけて食べるというやつ。
汁が飛び散るのを嫌ってのことだと思うが、
そういう意味でも丼を持ち上げ、口の近くで啜るのは理に適っている。
まっ、あまりくどくど言うと『注文の多い蕎麦屋』なんて言われて嫌われそうなので、
どうぞ自由にお食べください。
目標は平日で2回転の24名、土日は3回転の36名。
お客様の数である。
混みあう時間帯は11時半から1時半までの2時間。
当然ながら如何に早く注文の品をお出しするかが勝負の分かれ目。
だから揚げ物や盛り付けなどの作業はどうしたら効率良く出来るか、
そればかり考えている。
でも急ぐことと慌てることは勿論違う。
手と頭はフル回転していても心は平静でなければならない。
混雑の極みで店主が従業員に対し掛ける言葉は、
『もっと早く!』でもなく『急げ!』でもない。
『ゆっくりやろうぜ!』。
この一言がみんなを落ち着かせる。
いくら店主にそう言われても、中は満席、外の車には空き待ちのお客様が10名近く。
そんな状態でゆっくり仕事なぞ出来るはずがない。
しかし不思議なもので、ゆったりした雰囲気を少しの間でも厨房に流すと、
バタついていた作業の流れが落ち着いたものになる。
どんなに忙しくても、蕎麦の一本葱の一片にまで心の行き届いた品物をお出ししようと思っている。
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