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内二のつなぎで、幅は1.3ミリ、厚さは1.5ミリ。
手繰った長さは最低でも24センチ以上。
腰が立つが、しなやかさがあり、前歯と下唇でフツンと切れる。
汁はあくまでも辛目。
鰹節や醤油の香りを押さえ込んだ手間隙のかかる美味い汁。
そんな江戸前蕎麦を目指して悪戦苦闘すること5年。
『有楽町更科』の藤村和夫さんの著書は自分にとってバイブルだった。
修行経験の大切さを説き、プロ養成3ヵ月コース教室を卒業して安易に店を開くことを痛烈に批判する。
蕎麦打ちに迷ったときには彼の本を開いた。
自分の心の中だけに存在する師匠は、藤村さんが教えてくれたことに重なる。
そんな藤村和夫さんが2年ほど前に亡くなっていたのを知った。
ご冥福を祈るとともに、老舗の技を惜しげも無く開示して下さったことに感謝したい。
藤村さんの持論は、『蕎麦屋の大事は汁』。
蕎麦が多少不味くても、汁が美味ければ食べることが出来る。
同感。
汁のしつらえは一子相伝。
江戸時代から続く大店でも汁取りだけは旦那の仕事。
汁取りが終わると、着流しで寄り合いと称する訳の分からん会合にさっさと出掛けたそう。
当店の冷たい蕎麦の汁、いわゆる辛汁は、高知枕崎産の厚削り本枯れ鰹節を約1時間煮出す。
蕎麦専用の最高級醤油『そば膳』と味醂の最高峰『三河本味醂』、『三温糖』を加えて一月寝かせた本返しに合わせる。
さらに80度に保ったまま湯煎すること2時間。
出汁気、醤油気を飛ばしてやっと完成する。
温かい蕎麦用のかけ汁は、厚岸の昆布と国内産の干し椎茸を一晩水に漬け、
宗田鰹と鯖の厚削りで20分ほど出汁を引き、返しを10分の1少々加えて出来上がる。
結構な手間隙がかかるが、別にこだわっているわけではない。
伝統のこしらえ方を忠実になぞっているだけ。
10月の初めから新蕎麦をご提供する。
蕎麦とともに汁の美味さもぜひ味わっていただきたい。



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8月最後の週末は、確か摩周の新蕎麦祭りのはず。
高橋邦弘名人が蕎麦打ちの技を披露しているだろう。
これから全道各地で続々と新蕎麦の収穫祭が開催される。
9月最初の土日は幌加内の蕎麦祭りである。
店を始める前は毎年のように行っていたが、
今は臨時休業の貼紙をする踏ん切りがつかない。
幌加内は、ここんところの集中豪雨で、結実間直の蕎麦の多くが倒伏しているという。
何とか無事に収穫を終えますよう祈らずにいられない。
局地的な不作に備え、ほとんどの蕎麦屋は複数の生産地と取引を持つ。
だが当店は幌加内一本槍。
栽培から製粉まで手がける『そば工房坂本』さんの蕎麦作りを信頼し切った結果である。
さて、一月ほど前、農林水産省の役人が二人来た。
米飯の提供をしているかと聞くので、してるよと答えたところ、
米の生産地を表示していないので法律違反だという。
そういえば去年、そんなことを書いた文書が道庁から届いていたのを思い出す。
何で米だけこんなことをしなきゃなんないのと小役人に聞くと、
米が一番多く消費されているからとか何とか訳の分からない答え。
『TPP』交渉で保護なんぞ出来る訳が無い米農家に対する言い訳の一環だろうと思いつつ、
食の安全を図るのが最終目的であるならば、
蕎麦屋ならば蕎麦粉、鮨屋なら魚、焼き鳥屋なら鶏、
みんな平等に生産地を明示しなさいね、という法律だったら頭の悪い自分にも納得できる、
そこんところを、きちんと説明してくれねぇかと言うと、
取り敢えず今は米だけだが、そのうちそうなる筈であると答えにならない。
大して暑くも無い日だったが、汗びっしょり掻いて返答する小役人が気の毒になり、
法違反を認識して改善しましたという証拠になる写真、
『当店で使用する米は国産米です』と印刷して用意してきた紙を壁に貼り一緒にカメラに収まる。
その後しばらくしてから、道庁の農政課から改善命令書みたいなものがご丁寧に届いた。
何とも早、手間隙と税金をかけたお仕事ぶりである。
開店以来、食材の生産地表示は可能な限りやってきた。
法律がどうのこうのというよりは、食べ物を提供する者として当たり前のこと。
新蕎麦から話題は大きく逸れてしまった。
当店の新蕎麦のご提供は9月の中からとなる。
どうぞお楽しみに。
7月は日曜日を除き、いまいちの入りである。
昼時には満席の状態になるが、それで終わってしまう。
平日はお一人のお客様が多いので、カウンターの無い当店ははなはだ効率が悪い。
蕎麦屋なんて商売は開店から1時までが勝負の世界。
席数の6割から7割を採算ラインに設定するのが安定経営の要だと思う。
あと5、6人座れる席があったらなと、溜息まじりに考えてしまう。
まっ、店舗設計の甘さということで諦めましょう。
そんな平日をカバーしてくれるのが日曜日。 
21日の日曜は気合を込めて50人前の蕎麦を打つ。
開店の札を出すと同時にお客様が詰め掛ける。
少し肌寒い天気のせいか、半数以上の注文は天ぷら系。
11時から2時過ぎまで1分の休みも無く天ぷら鍋に張り付く。
蕎麦屋の天ぷらは衣を厚めに付ける。
温・冷いづれの蕎麦にも汁に絡まる衣の付け加減が要。
中でも海老の天ぷらは腕の見せ所。
油の中でくるくる回る海老を仰向けに寝せ、針の様な衣の華を咲かす。
尻尾はじゃんけんの『パ』のように綺麗に開くのが理想。
中心はほんのり火が入った状態が美味いので、
衣付けは10秒ほどで終わらさなければならない。
最初はうまくいかなかった。
当店の海老天は2本で1人前。
向きを揃えて衣を付けるのは結構難しい作業。
悩んだ末、100均ショップで売っている『あるもの』を使おうと思いついた。
これが大正解。
2人前の4本の海老に同時に華を咲かすことが出来る。
すべて独学でこの商売を始めた自分にとって、そんな発見は無上の喜び。
開業者向けの蕎麦教室に通ったり、老舗の蕎麦屋に修行に入ったりすると、
悩まなくとも答えはすぐに用意されているだろう。
だが自分にはそんな時間も金銭的な余裕も無かった。
頼りになるのは、どうしたらもっと美味しく、効率良く、
綺麗に仕上げることが出来るかを考え続ける向上心と、それを支える体力。
向上心はまだまだ大丈夫と思うが、体の力は黄色の点滅かもしれない。
結局、こないだの日曜日は37名様で終わらせていただいた。
2食分の蕎麦が残ったが、
3人様が来店されたらアウトだろ、が自分に対する言い訳ですな。


いつもの様に3時過ぎには起き出し蕎麦を打っていた。
前夜、『にの字御膳』のお客様があったのであまり寝てない。
重たい体を引きずりながら三つ目の蕎麦の水回しが終わった5時。
突然、鐘の音が聞こえた。
ヨーロッパの古い教会の荘厳な鐘の音。
な、なんだと辺りを見回した。
ラジオもCDもかかってはいない。
いよいよ神様が迎えに来たかと思った。
この世の命の終わりは突然に来る。
いつそんなときが来てもいいと、65歳以降は心構えをしている。
癌の検査は受けたことが無い。
若い世代の癌検は必ず受けねばならないが、
歳を重ねれば癌はあちこちにある。
日常生活にさほどの支障を来たさなければ、
そのまんまでいい。
そんな自分に教会の鐘の音。
脳梗塞なんかの半身不随はゴメンなので、
お迎えの鐘の音であれば幸せこの上も無い。
だが音源判明。
いろいろ探し回った結果が、
前夜の『にの字御膳』のお客様の忘れ物、スマホの目覚ましアラームの音。
お前はもう少し生きて蕎麦を打ちなさいという天からの声か。
やれやれである。
もっと体を大事にという周りの声には、
てやんでぇ~という気持ちが先立ってしまうが、
でもこれが孫からの声掛けだと違うんですな。
素直にそうしようと思ってしまう。
不思議なもんです。
最近、『にの字御膳』のご予約が好調です。
鴨しゃぶの美味しさが口コミで伝わってきているのかなと思う。
単品でも2000円はする鴨しゃぶに、
前菜6品盛、蕎麦せいろ、甘み物、が付いて2500円です。
前々日までのご予約で承っております。











当店の開店1年前に、街中にK庵さんが自家製粉の店を開かれた。
同じ事をやっていては経営が成り立たないと考え、
中休み無しの通し営業とした。
これがなかなか大変な事だとやってみて気が付いた。
多くの蕎麦屋は2時か3時ごろにいったん店を閉める。
その後、昼食を摂ったり夜の仕込をしたり、朝早い商売なので昼寝も出来る。
休みが無いということは、来客の合間を見て立ちながら蕎麦を掻きこみ、
朝にほぼ全ての仕込を済ませ、昼寝も出来ないということ。
思惑通り、休憩時間のままならない営業の方達や、
遠方からいらしてくれるお客様には、通しの営業は好評である。
だが止むを得ず『したく中』の札を出し一時閉める時がある。
先日も大根が無くなり買い物に出た。
4時ごろに戻ると同時に黒の軽が入ってくる。
『やれやれ、ちょっと待ってくださいね』と、
食べ損ねた昼食代わりのカップ麺と大根を抱えて車を見た。
年のころなら25,6の飛び切りの美人が降りてきて、
『お休み中ですか?』と。
『いえ!開けます!開けます!すぐ開けます!!』
大急ぎで鍵を開けてお通しした。
網走から出張でいらしたとのこと。
おろし蕎麦を召し上がった後、網走の蕎麦屋さんについて伺うと、
天都山中腹の『O』さんによく行くそう。
自分も大好きな店なので共通の話題で盛り上がる。
店主のNさんとは同じスポーツジムの仲間だという。
ジムに通う時間をつくるNさんの蕎麦屋生活に感心する。
近いうちにまた伺って、いろいろ教えていただこうと思う。


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