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お盆の時期になった。
墓地に近いこの店は1年で一番の賑わい。
お墓参りの家族連れを見ると子供の頃の記憶が蘇る。
親族の墓地は旭川の神居と近文にあった。
神居はすぐ近くだったが、近文は春光町のバス停からまっすぐに延びる道をひたすら歩く。
子供の足で小一時間以上はかかっただろう。
旭川の夏は暑い。
炎天下の墓参りの後の楽しみはロータリー近くの『亀や』のアイスクリームだった。
足高の銀製の容器にウエハスが添えられたアイスは、年に一度きりのご馳走。
器に付いた残りを舐めたくてしょうがなかった。
乳製品は当時の高級食材。
週に一二回、牛飼いの農家が一升瓶に入れて届けてくれた牛乳、
鍋で沸かすと分厚い黄色の膜が張るあの味を忘れることが出来ない。
そんな牛乳を使ってクリームシチューの様なものを母親がよく作ってくれた。
今から50年前のことである。
戦後の復興を遂げたこの国が東京オリンピックを開催する。
強く記憶に残るのがマラソンの円谷幸吉である。
裸足のランナー『アベベ』と走り、銅メダルを獲得した彼は次回のメキシコを前に頚動脈を切り自殺する。
『母上様、三日とろろ美味しゅうございました。』で始まる遺書は何度読んでも涙を誘う。
東京で全力を出し切った自衛官の円谷は足の故障に悩まされ続けた末、
次回も表彰台にという周りのプレッシャーに押しつぶされて人生を終える。
最後のひと時に脳裏に浮かんだのは母親の手料理だった。
もうすぐ終戦記念日がやってくる。
あの戦争で命をかけて祖国を守ろうとした多くの若者たちも、
特攻機の操縦桿を握り締めながら叫んだ声にならない言葉は、
『天皇陛下万歳!』ではなく、『母さん!』だったと思う。
先日行きつけのスーパーで青紫蘇の束を売っていた。
夏の食卓には紫蘇の味噌巻きがあったのを思い出す。
記憶をなぞりながら作ってみたが母親の味とは微妙に違う。
『これも美味しいよ』との声を聞きながら遺影の前に供えた。
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3年じゃ短すぎるし、かといって10年じゃ長すぎる。
60歳を過ぎてから蕎麦屋という世界に飛び込んだ自分にとって、
5年という歳月の区切りは,いろいろなものを見極めるために、ちょうどいいように思えた。
5年やってみて芽が出ないようであれば撤退も含めて考え直そう、
そう決めて始めたこの商売。
相変わらずの赤字経営ではあるが、ミシュランガイド掲載やら何やらでやめるには惜しい状況になってしまった。
自分の体はもうすこしの間は使えそうだが、いろんなものが壊れ始めた。
まず、打ち場のエアコンが動かなくなる。
電気屋さんに診てもらうと、室外機の基盤というモノがイカレタそう。
部品代、交換技術料等で2万と少々。
やれやれと思っていると、今度は掃除機のモーターが変な音を出すようになった。
5年の間、毎朝蕎麦粉混じりの埃を吸い続けていると無理もなし。
モーターの部品の取替えで約1万。
ほんまにもぅ~と呆れていると、今度はCDプレィヤーの出番。
ローディングが出来ない。
故障の原因不明のためメーカー送りの修理となると2万は下らない。
こう出費が重なると、たまったもんじゃねぇ~ので、KAWA様に相談する。
早速ヤフオクで調べてくれた。
中古にはなるが、同じ機種が1000円からオークションに出品されているではないか。
良さげなものを落札したとしても5000円位で何とかなりそうである。
電化製品は壊れ始めると、足並みを揃え一気に攻勢をしかけて来る。
どうかこれで収まってくれと、今週の休みは冷蔵庫や製氷機の保守点検と掃除に費やした。
あと5年、人生の再出発を支えてくれた物言わぬモノ達との生存を賭けた競争。
多分自分のほうが先にギブアップすると思うが、頑張ろうぜ!と声を掛ける。



先週末から近隣の小中学校は夏休みに入った。
店の周りでも虫取り網を持った子供たちを時々見かける。
そんな子供たちを見かけたら、絶対に車は徐行すること。
速度を落とさない車がなんと多いことか。
意外かもしれないが女性ドライバーが目立つ。
自分も含め世の男性のほとんどは、運転中に子供が視界に入ると飛び出しの危険を感じてアクセルを離す。
だが最近の若いママさん達は違うんですな。
後ろに子供を乗せてのくわえタバコ、ハンドル持ちながら携帯のメール打ち。
登下校時の学校の近くの交差点信号。
黄色の点滅を無視して、そんな馬鹿ママは突っ込んで行く。
警察も物陰に隠れて陰湿なシートベルトの取締りをやったりしないで、
重大事故に繋がるかもしれないアホどもを捕まえなさい。
当店にもその様な馬鹿ママが、しつけの出来ていない子を連れて時々来る。
小さいお子様お断りとしていないので仕方が無いが、
他のお客様に迷惑がかかるような無礼には店主の一喝を入れることにしている。
ちょろちょろ走り回り、時には厨房にも入ってくる。
『危ないから座っていなさいね!』口元には笑みを浮かべながら、
きつい目つきで優しく言うと大概の子供は座ってくれる。
公共の場での作法が出来ないうちは、親もそんな所での楽しみを諦めるべきだと思う。
自分の楽しみが優先するから、炎天下のパチンコ店駐車場での悲劇があとを絶たない。
蕎麦屋は充分に人生を生きてきた大人の憩いの場。
ここの店の構えは子連れでは入りにくいと言われることがある。
その通りである。
大人しく座って居る事の出来ないお子様連れはご遠慮いただきたいのである。
さて、7月に入ってからシンガポールからのお客様が相次いでいる。
10日ごろに7名様、おとといは2名様。
いずれのグループもレンタカーでのご来店。
ミシュランガイドと当店のホームページを見て最初からプランに盛り込んだそう。
地元の人でも迷ってしまうところに、ホテルにもらった簡単な地図を頼りによくぞいらしてくれる。
なぜかごぼう天を注文する方が多い。
それも店に入る前から決めている様子。
はるか海の彼方のシンガポールで、
『にの字』の『ごぼう天』や『ごぼう天おろし』が有名になっている、
何とも愉快ではありませぬか。

英国風の自然庭園を目指す裏庭には、
様々な花が咲き乱れている。
タンポポから始まり、今はマーガレット風の白い花や、
お日様が陰ると閉じる黄色い小花が盛りである。
それにクローバの赤の点々が彩りを添える。
だがそれらの間の雑草は刈らねばならない。
昨年までは何の躊躇も無く、エンジン刈払い機で花々もろとも刈っていた。
ところが今年は花が不憫で刈れない。
歳のせいなんでしょうな。
花が終わるまで待つことにした。
そんな悠長な気分とは逆に、時と場合によっては気の短さも際立ってきた。
店が忙しくなってくると、いかん、いかん!と思いながら、
『あっ、あれ取って!』『それじゃないって!』『あれだよ!あれ!あれ!!わからんかなぁ~』。
ついついパートさんに対する語尾がきつくなる。
5人分ぐらいの注文票がすっと頭に入るようになると、
店主が次に何をするのか、そのために何が必要になってくるのかが分かるようになる。
1年ほど経験を積むとそんな領域に辿り着くのだが、
入りたての新人さんや、ベテランさんでも体調不良のときは、
そんな店主の勝手な要求にピピッと反応することは難しい場合もある。
だがお客様は一期一会が基本。
どんな場合も常に最高の蕎麦を出さねばならない。
そのためには厨房の連携は最低必要不可欠な条件。
緊張感が無ければ、お互いの心を読んでの流れ作業は出来ない。
蕎麦は1秒を争う食べ物。
張り詰めた空気を保つためには、自分の勝手気ままもある意味必要かなと。
自己弁護ですかね。
それにしても当店のパートさん達、本当に良くやってくれてます。
たとえ、どこかの飲食店に勤めたとしても、
即、主任になれる位の技能と気遣いをこの店で学ぶことが出来ると思っている。


7日は七夕の日曜日。
朝から蒸れる様な珍しい暑さ。
開店の11時、厨房の温度計は30度を超えていた。
ということは蕎麦釜近くは軽く40数度。
こんな日は天ぷら系の注文も相次ぐ。
自宅で火を使いたくないが、蕎麦だけでは物足りないというお客様が多いのだろう。
海老天おろしとか、ごぼう天おろしが続く。
いくら商売とはいえ、こんな日の天ぷらは体力を消耗する。
暑さのピークの3時過ぎには店を閉めさせてもらった。
近頃思うこと。
一枚のせいろを食べるのに、何でこんなにティッシュを使うんだろと思うお客様がいっぱい居る。
戻ってきたお盆を見ると地が見えないほどの丸められたティッシュの山。
自分が子供の頃、ティッシュなどという便利なものは無かった。
紙は貴重なものの時代。
トイレの紙は茶チリと称するゴワゴワした固いもの。
田舎へ行くと古新聞が切って置いてあった。
だから食事中に紙を使う習慣なんぞは無かったと思う。
ちゃぶ台の上には濡れ布巾が1枚。
食べこぼしはそれでぬぐった。
口の周りの汚れはどうしていたのか記憶が無い。
舌舐めずりという言葉のとおり、ペロンと舐めて終わっていたのだろう。
当店は、紙お絞りは置いてある。
手を拭いた後、たたみ直すと十分口は拭くことが出来る。
大体が食べた後の形跡をみっともなくしないというのは大人の流儀。
ティッシュを使ってくださるなと言っているのではない。
山ほどのティッシュを使ってそのままのお客様はその程度の方達。
店側の我侭かも知れないが、そんな人達はご常連の範囲に入ることは無い。
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