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先週の木曜日、おおよそ三時になろうかという頃、お一人様ご来店。
見ると、なんと温根湯の名店『手打蕎麦すずき』の鈴木さんである。
一茶庵の蕎麦教室を卒業され、温泉で有名な街で端正な蕎麦を打ち続けている。
『あれっ!今日休みですか?』『休みじゃないんだけど休みになっちゃたんだよね!』。
聞くと、問屋が鰹節の種類を間違って送ってきたため汁が取れないと言う。
昨年からの『山の水族館』ブームの影響で連日混み合っている中、緊急の休みはさぞかし痛いだろう。
何時もは本枯れ鰹節の薄削りを使ってるそうだが、小型の鰹で作られた亀節が届いてしまったとのこと。
普通の蕎麦屋であれば、そんなに違いはねぇとやってしまうところだが、
閉めてしまうところが凛とした蕎麦を打つ彼の本領。
手打ち蕎麦屋の冠言葉、『こだわり』は嫌いな言葉である。
美味い蕎麦をお出しするために、原材料や手法にこだわるのは当たり前。
重要なのは何時如何なる時もその考え方を保ち続けること。
食べ物商売をやったことのある方であれば解ることだが、
採算ラインは『こだわり』を徐々に曖昧にする。
押し留めるのは蕎麦や汁に対する矜持。
つまり自分の生き方、考え方への『こだわり』だと思う。
本音で話すことができる同業者は滅多に居無いが、
鈴木さんとはそんなところで共鳴できる。
国道39号を北見から旭川方面に走って温根湯市街地に入って直ぐ、手打ち蕎麦ののぼりが左側に見える。
ぜひ一度寄ってみてください。
『こだわり』と同様に最近の飲食店でよく使われる言葉『最大限』。
たとえば、幌加内産の蕎麦粉の旨味を最大限引き出しました、なんて使い方をされる。
ヘンだと思いませんか?
食材の持つ特色やおいしさをとことん追求するのは職人として当たり前のこと。
わざわざお客さんに言うことでもないし、ましてや宣伝文句に使うなんてぇのはもっての外。
夕方のニュースで、大阪の一流ホテルがトビッ子を赤色キャビアと嘘をついて出していたそう。
責任者がテレビの取材に対し、食材に対する認識が甘かったとほざいていた。
儲けのために『最大限』ニセモノを使うことに『こだわり』ました、と言えば解りやすいものを。
見ると、なんと温根湯の名店『手打蕎麦すずき』の鈴木さんである。
一茶庵の蕎麦教室を卒業され、温泉で有名な街で端正な蕎麦を打ち続けている。
『あれっ!今日休みですか?』『休みじゃないんだけど休みになっちゃたんだよね!』。
聞くと、問屋が鰹節の種類を間違って送ってきたため汁が取れないと言う。
昨年からの『山の水族館』ブームの影響で連日混み合っている中、緊急の休みはさぞかし痛いだろう。
何時もは本枯れ鰹節の薄削りを使ってるそうだが、小型の鰹で作られた亀節が届いてしまったとのこと。
普通の蕎麦屋であれば、そんなに違いはねぇとやってしまうところだが、
閉めてしまうところが凛とした蕎麦を打つ彼の本領。
手打ち蕎麦屋の冠言葉、『こだわり』は嫌いな言葉である。
美味い蕎麦をお出しするために、原材料や手法にこだわるのは当たり前。
重要なのは何時如何なる時もその考え方を保ち続けること。
食べ物商売をやったことのある方であれば解ることだが、
採算ラインは『こだわり』を徐々に曖昧にする。
押し留めるのは蕎麦や汁に対する矜持。
つまり自分の生き方、考え方への『こだわり』だと思う。
本音で話すことができる同業者は滅多に居無いが、
鈴木さんとはそんなところで共鳴できる。
国道39号を北見から旭川方面に走って温根湯市街地に入って直ぐ、手打ち蕎麦ののぼりが左側に見える。
ぜひ一度寄ってみてください。
『こだわり』と同様に最近の飲食店でよく使われる言葉『最大限』。
たとえば、幌加内産の蕎麦粉の旨味を最大限引き出しました、なんて使い方をされる。
ヘンだと思いませんか?
食材の持つ特色やおいしさをとことん追求するのは職人として当たり前のこと。
わざわざお客さんに言うことでもないし、ましてや宣伝文句に使うなんてぇのはもっての外。
夕方のニュースで、大阪の一流ホテルがトビッ子を赤色キャビアと嘘をついて出していたそう。
責任者がテレビの取材に対し、食材に対する認識が甘かったとほざいていた。
儲けのために『最大限』ニセモノを使うことに『こだわり』ました、と言えば解りやすいものを。
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先週の土曜日、昼の混雑時を過ぎたころ5人の外国人が入ってきた。
スイス人3名、あとノルウェイ人とリヒテンシュタイン人のグループ。
一人のスイスの方が片言日本語を話すことが出来たので注文などには不自由はなかった。
こんな時、翻訳機能が使えるスマホがあればと思う。
お出ししたのは、海老天蕎麦が四つに海老天おろし蕎麦が一つ。
それにしても5人全員が音を立てずに蕎麦を啜る様子は面白い。
食後にフォンダショコラケーキとコヒーのセットも召し上がり、
全部美味しくてベリーナイスだったと言われ、感謝の気持ちだと本場スイスのチョコレートを頂いてしまった。
一人のスイスの女性が、隣はヨガのスクールかと聞いてきた。
自分もヨガの先生をやっているので、こちらの先生にぜひ会いたいと仰る。
だが生憎なことに嫁さんは留守。
残念がって帰って行かれた。
学生時代は何とか初歩の日常会話はできたが今は全くダメ。
学校の近くに相模原だの座間だの厚木だのの米軍の基地があったので、
そこいら中に外人が溢れかえっていた。
おまけに大学は英語環境を向上させるということで、基地の奥さん連中をキャンパスの中にうろつかせていた。
真っ赤な口紅の金髪バーサンが用もないのにハーイと話しかけてくる。
うるせぇやと言う訳にもいかず適当に相手をしているうちに不思議なことに喋れるようになった。
心がねじくれ曲がってしまったベトナム帰りの兵隊たちもいっぱいいた。
酔っぱらってオネェちゃんに絡んでるやつを見かけると、
遠くから、ヘーイ!ヤンキー!モンキー!ドンキー!!と叫んでやる。
この三つの言葉は相当頭にくるらしく怒ってこっちに向かってくる。
あとはスタコラサッサと走って逃げるだけ。
夜の相模大野の街ん中を友達二、三人と全力疾走。
若さゆえのゲーム感覚の遊びだった。
もう一度英語を勉強しようかななんて少しだけ思っている。
結構な頻度で外国からのお客様が見えられるので、
せめて品書きの説明ぐらいは出来るようになりたい。
スマホを介しての会話なんてなんだか味気ないじゃありませんか。
スイス人3名、あとノルウェイ人とリヒテンシュタイン人のグループ。
一人のスイスの方が片言日本語を話すことが出来たので注文などには不自由はなかった。
こんな時、翻訳機能が使えるスマホがあればと思う。
お出ししたのは、海老天蕎麦が四つに海老天おろし蕎麦が一つ。
それにしても5人全員が音を立てずに蕎麦を啜る様子は面白い。
食後にフォンダショコラケーキとコヒーのセットも召し上がり、
全部美味しくてベリーナイスだったと言われ、感謝の気持ちだと本場スイスのチョコレートを頂いてしまった。
一人のスイスの女性が、隣はヨガのスクールかと聞いてきた。
自分もヨガの先生をやっているので、こちらの先生にぜひ会いたいと仰る。
だが生憎なことに嫁さんは留守。
残念がって帰って行かれた。
学生時代は何とか初歩の日常会話はできたが今は全くダメ。
学校の近くに相模原だの座間だの厚木だのの米軍の基地があったので、
そこいら中に外人が溢れかえっていた。
おまけに大学は英語環境を向上させるということで、基地の奥さん連中をキャンパスの中にうろつかせていた。
真っ赤な口紅の金髪バーサンが用もないのにハーイと話しかけてくる。
うるせぇやと言う訳にもいかず適当に相手をしているうちに不思議なことに喋れるようになった。
心がねじくれ曲がってしまったベトナム帰りの兵隊たちもいっぱいいた。
酔っぱらってオネェちゃんに絡んでるやつを見かけると、
遠くから、ヘーイ!ヤンキー!モンキー!ドンキー!!と叫んでやる。
この三つの言葉は相当頭にくるらしく怒ってこっちに向かってくる。
あとはスタコラサッサと走って逃げるだけ。
夜の相模大野の街ん中を友達二、三人と全力疾走。
若さゆえのゲーム感覚の遊びだった。
もう一度英語を勉強しようかななんて少しだけ思っている。
結構な頻度で外国からのお客様が見えられるので、
せめて品書きの説明ぐらいは出来るようになりたい。
スマホを介しての会話なんてなんだか味気ないじゃありませんか。
一週間ほど入院していたので日記の更新が一回抜けてしまいました。
原因は不明なんですが、なんだか調子が悪い。
あ、人間ではなくパソコンです。
kawa様が必死に回復を試みているのですが、どうやらハードディスクの交換になりそうです。
人間様の方はよれよれになりながら何とか猛暑をやり過ごし、今週から新蕎麦を打ち始めています。
脱サラ系の蕎麦屋は開業三年目ぐらいで、みんな腰を痛めるそう。
幸いなことに腰を始めとして、筋肉及び骨系には異常が無い。
親と神様に感謝ですな。
さて、秋も深まり南瓜の美味しい季節になりました。
蕎麦のかけ汁でコトコト煮ると出汁の効いた南瓜煮の出来上がり。
せいろと南瓜なんていう賄いメニューが頻繁に登場するのもこの時期。
終戦後二年目の生まれ。
代用食という名目のもと、日曜日の昼食は芋、南瓜、唐黍の炊いたのだった。
小学校時代はまだ給食は無かった。
それぞれに弁当を持ってきたのだが、南瓜や芋を詰めただけの子供も多かった。
悲惨だったのは開拓部落から通ってきていた連中。
開拓という名のもとに多くの朝鮮人が山奥に追いやられた。
日々の暮らしにも事欠く中、子供の弁当を持たせる余裕は無い。
昼休みになると、教室を出て体育館を走り回る姿を思い出す。
今考えると彼らは一様に黄色い顔色をしていた。
あれは米が無くて南瓜や芋ばかり食べていたせいなんだろう。
お腹がいっぱいになるくらい南瓜を食べると翌日手のひらも黄色くなった。
男子生徒がワイワイと黄色の度合いを競い合う中、
小金持ちの家の女子なんかは恥ずかしがって握ったまま。
一クラス50人もの生徒がいた昭和の記憶である。
ところで南瓜にはベータカロチンが多く含まれているそう。
抗酸化作用があり、癌の防止にも力を発揮するらしい。
季節季節の旬の食べ物を美味しく頂いていると、
サプリメントなんぞは摂らなくても丈夫でいられることを昔の人は知っていた。
長いこと病院に入院する年寄りも少なかったような気がする。
昨日まで畑に出ていたジーサンが次の日ぽっくり死んでしまう。
妙な言い方だが健康に死ぬことが出来た。
長生きだけが全てでないと憎まれ口を叩けるのも今のうちか。
原因は不明なんですが、なんだか調子が悪い。
あ、人間ではなくパソコンです。
kawa様が必死に回復を試みているのですが、どうやらハードディスクの交換になりそうです。
人間様の方はよれよれになりながら何とか猛暑をやり過ごし、今週から新蕎麦を打ち始めています。
脱サラ系の蕎麦屋は開業三年目ぐらいで、みんな腰を痛めるそう。
幸いなことに腰を始めとして、筋肉及び骨系には異常が無い。
親と神様に感謝ですな。
さて、秋も深まり南瓜の美味しい季節になりました。
蕎麦のかけ汁でコトコト煮ると出汁の効いた南瓜煮の出来上がり。
せいろと南瓜なんていう賄いメニューが頻繁に登場するのもこの時期。
終戦後二年目の生まれ。
代用食という名目のもと、日曜日の昼食は芋、南瓜、唐黍の炊いたのだった。
小学校時代はまだ給食は無かった。
それぞれに弁当を持ってきたのだが、南瓜や芋を詰めただけの子供も多かった。
悲惨だったのは開拓部落から通ってきていた連中。
開拓という名のもとに多くの朝鮮人が山奥に追いやられた。
日々の暮らしにも事欠く中、子供の弁当を持たせる余裕は無い。
昼休みになると、教室を出て体育館を走り回る姿を思い出す。
今考えると彼らは一様に黄色い顔色をしていた。
あれは米が無くて南瓜や芋ばかり食べていたせいなんだろう。
お腹がいっぱいになるくらい南瓜を食べると翌日手のひらも黄色くなった。
男子生徒がワイワイと黄色の度合いを競い合う中、
小金持ちの家の女子なんかは恥ずかしがって握ったまま。
一クラス50人もの生徒がいた昭和の記憶である。
ところで南瓜にはベータカロチンが多く含まれているそう。
抗酸化作用があり、癌の防止にも力を発揮するらしい。
季節季節の旬の食べ物を美味しく頂いていると、
サプリメントなんぞは摂らなくても丈夫でいられることを昔の人は知っていた。
長いこと病院に入院する年寄りも少なかったような気がする。
昨日まで畑に出ていたジーサンが次の日ぽっくり死んでしまう。
妙な言い方だが健康に死ぬことが出来た。
長生きだけが全てでないと憎まれ口を叩けるのも今のうちか。
山ん中だから仕方が無いが、やたらとやぶ蚊がいる。
普通、蚊というやつは夕方近くから姿を現すものだが、
この辺りは朝から飛び回っている。
暗くなって店に灯りが付くと待ってましたとばかり、
裏口のドアのガラスにゾンビのように何十匹も群がる。
外への出入りはやつらが入ってこないようにすばやく開け閉めするのだが、
まんまと潜入を果たした何匹かが後片付け中の店内を飛び回る。
作業を中断して一匹残らず叩き潰してしまう。
やれやれと仕事に戻ると、老眼鏡をかけた視界の隅を黒いものが走る。
もともと目が弱いので、とうとう来たか『飛蚊症』と思い眼鏡を外し目をこすっても同じ。
そのうち腕に止まりチックとくる。
直ぐには叩かない。
蚊に表情があるとしたら、やっと今宵の晩餐にありつき恍惚の笑みを浮かべた瞬間にバシッとやる。
ヘンタイですかね。
視力の衰えは1年といえない。
ついこないだまで本を読んだりするとき以外は老眼鏡は不要だった。
だが今は目の前にぶら下がった注文伝票が眼鏡無しには読めない。
だからお客さんにご挨拶する時などには、ついつい鼻メガネになってしまう。
子供の頃、苦手な大人はみんな鼻メガネだった。
背伸びしている自分を見透かすような、メガネから外れた裸の目に萎縮した。
そんな思い入れもあって、メガネの奥の己の表情が気になる。
目は口ほどにものを言う。
感謝の気持ちはそのまま眼差しのやわらかさに繋がる。
自分の目線を意識するなんていうのは、まだまだ修行が足りない証拠。
いい蕎麦を打ち続ければ、もう少しましな面構えになることを信じ頑張りましょう。
普通、蚊というやつは夕方近くから姿を現すものだが、
この辺りは朝から飛び回っている。
暗くなって店に灯りが付くと待ってましたとばかり、
裏口のドアのガラスにゾンビのように何十匹も群がる。
外への出入りはやつらが入ってこないようにすばやく開け閉めするのだが、
まんまと潜入を果たした何匹かが後片付け中の店内を飛び回る。
作業を中断して一匹残らず叩き潰してしまう。
やれやれと仕事に戻ると、老眼鏡をかけた視界の隅を黒いものが走る。
もともと目が弱いので、とうとう来たか『飛蚊症』と思い眼鏡を外し目をこすっても同じ。
そのうち腕に止まりチックとくる。
直ぐには叩かない。
蚊に表情があるとしたら、やっと今宵の晩餐にありつき恍惚の笑みを浮かべた瞬間にバシッとやる。
ヘンタイですかね。
視力の衰えは1年といえない。
ついこないだまで本を読んだりするとき以外は老眼鏡は不要だった。
だが今は目の前にぶら下がった注文伝票が眼鏡無しには読めない。
だからお客さんにご挨拶する時などには、ついつい鼻メガネになってしまう。
子供の頃、苦手な大人はみんな鼻メガネだった。
背伸びしている自分を見透かすような、メガネから外れた裸の目に萎縮した。
そんな思い入れもあって、メガネの奥の己の表情が気になる。
目は口ほどにものを言う。
感謝の気持ちはそのまま眼差しのやわらかさに繋がる。
自分の目線を意識するなんていうのは、まだまだ修行が足りない証拠。
いい蕎麦を打ち続ければ、もう少しましな面構えになることを信じ頑張りましょう。
内二のつなぎで、幅は1.3ミリ、厚さは1.5ミリ。
手繰った長さは最低でも24センチ以上。
腰が立つが、しなやかさがあり、前歯と下唇でフツンと切れる。
汁はあくまでも辛目。
鰹節や醤油の香りを押さえ込んだ手間隙のかかる美味い汁。
そんな江戸前蕎麦を目指して悪戦苦闘すること5年。
『有楽町更科』の藤村和夫さんの著書は自分にとってバイブルだった。
修行経験の大切さを説き、プロ養成3ヵ月コース教室を卒業して安易に店を開くことを痛烈に批判する。
蕎麦打ちに迷ったときには彼の本を開いた。
自分の心の中だけに存在する師匠は、藤村さんが教えてくれたことに重なる。
そんな藤村和夫さんが2年ほど前に亡くなっていたのを知った。
ご冥福を祈るとともに、老舗の技を惜しげも無く開示して下さったことに感謝したい。
藤村さんの持論は、『蕎麦屋の大事は汁』。
蕎麦が多少不味くても、汁が美味ければ食べることが出来る。
同感。
汁のしつらえは一子相伝。
江戸時代から続く大店でも汁取りだけは旦那の仕事。
汁取りが終わると、着流しで寄り合いと称する訳の分からん会合にさっさと出掛けたそう。
当店の冷たい蕎麦の汁、いわゆる辛汁は、高知枕崎産の厚削り本枯れ鰹節を約1時間煮出す。
蕎麦専用の最高級醤油『そば膳』と味醂の最高峰『三河本味醂』、『三温糖』を加えて一月寝かせた本返しに合わせる。
さらに80度に保ったまま湯煎すること2時間。
出汁気、醤油気を飛ばしてやっと完成する。
温かい蕎麦用のかけ汁は、厚岸の昆布と国内産の干し椎茸を一晩水に漬け、
宗田鰹と鯖の厚削りで20分ほど出汁を引き、返しを10分の1少々加えて出来上がる。
結構な手間隙がかかるが、別にこだわっているわけではない。
伝統のこしらえ方を忠実になぞっているだけ。
10月の初めから新蕎麦をご提供する。
蕎麦とともに汁の美味さもぜひ味わっていただきたい。
手繰った長さは最低でも24センチ以上。
腰が立つが、しなやかさがあり、前歯と下唇でフツンと切れる。
汁はあくまでも辛目。
鰹節や醤油の香りを押さえ込んだ手間隙のかかる美味い汁。
そんな江戸前蕎麦を目指して悪戦苦闘すること5年。
『有楽町更科』の藤村和夫さんの著書は自分にとってバイブルだった。
修行経験の大切さを説き、プロ養成3ヵ月コース教室を卒業して安易に店を開くことを痛烈に批判する。
蕎麦打ちに迷ったときには彼の本を開いた。
自分の心の中だけに存在する師匠は、藤村さんが教えてくれたことに重なる。
そんな藤村和夫さんが2年ほど前に亡くなっていたのを知った。
ご冥福を祈るとともに、老舗の技を惜しげも無く開示して下さったことに感謝したい。
藤村さんの持論は、『蕎麦屋の大事は汁』。
蕎麦が多少不味くても、汁が美味ければ食べることが出来る。
同感。
汁のしつらえは一子相伝。
江戸時代から続く大店でも汁取りだけは旦那の仕事。
汁取りが終わると、着流しで寄り合いと称する訳の分からん会合にさっさと出掛けたそう。
当店の冷たい蕎麦の汁、いわゆる辛汁は、高知枕崎産の厚削り本枯れ鰹節を約1時間煮出す。
蕎麦専用の最高級醤油『そば膳』と味醂の最高峰『三河本味醂』、『三温糖』を加えて一月寝かせた本返しに合わせる。
さらに80度に保ったまま湯煎すること2時間。
出汁気、醤油気を飛ばしてやっと完成する。
温かい蕎麦用のかけ汁は、厚岸の昆布と国内産の干し椎茸を一晩水に漬け、
宗田鰹と鯖の厚削りで20分ほど出汁を引き、返しを10分の1少々加えて出来上がる。
結構な手間隙がかかるが、別にこだわっているわけではない。
伝統のこしらえ方を忠実になぞっているだけ。
10月の初めから新蕎麦をご提供する。
蕎麦とともに汁の美味さもぜひ味わっていただきたい。