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嵐のようなお盆の一週間が過ぎた。
連日の売り切れ仕舞いのため、せっかくいらして頂いたのに帰られた方も多く居ただろう。
本当に申し訳ございません。
もっと多く蕎麦を打てば良いのにと思われるかもしれないが、
厨房の広さ、従業員の数、食器などの数、
そして何より茹で方から天ぷらまで調理全てを賄う店主の体力を考えると、
一日四十名ほどのお客様が限界である。
それ以上やって出来ないことはないが仕事が雑になる。
儲けは殆ど出て来ないが、手打ちの蕎麦屋は数をこなせば良いというものではない。
人生と同じ、ほどほどのところで見切りを付ける、これが肝心。
17日の日曜日。
時分どきの混雑が過ぎ、一息ついていた。
それでも席は大方埋まり、団体さんが入られると空き待ちになるなと思っていた頃、
1歳位の幼児を抱いた若いお母さんが入って来た。
若い女性のお一人様は当店では珍しいことではない。
だが小さいお子さんを連れたお一人は滅多にいらっしゃら無い。
あいにく店には乳児用の椅子の用意はしておらず、
抱っこしながら召し上がるのかなと思いながら、
注文のかき揚げおろしの天ぷらを揚げていると、
何やら客席からにぎやかな笑い声が上がっている。
見てみると、親子の隣の席の初老の夫婦が赤ちゃんをあやしている。
偶然知り合いに会った様な話ぶり。
食べ終えたご夫婦が子供を抱きながら、母親が蕎麦を食べるのを見守っている。
お会計の時、若いお母さんに聞いてみた。
「お知り合いに会えて良かったですね!」と言うと、
「全然知らない方です!面倒見てくれてお蕎麦ゆっくり食べれました!」
自分が理想としている店づくりがそこにある。
食べかけの丼を持ちながら席を移ってくれるお客様。
蕎麦湯を飲むのもそこそこに、空き待ちの方のために立ち上がるお客様。
そんな方達に甘えてはいけないのだろうが、
店の雰囲気というものは店側だけで作れるものではない。
長い時間をかけてお客様と店が醸し出す空気である。
6年という歳月の積み重ねがそのような土壌を作ってくれたのだろう。
そこに苗を植え、花を咲かすのは店主の努力次第。
もうしばらく老体に鞭打ち仕事に励まなければお客様に申し訳が立たない。
ふと外を見るとイタドリの葉が黄色くなっている。
あっという間に秋がやってきていた。

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うめ&おねえ様
二度もコメントをいただきながら、お盆の忙しさにかまけてしまい、発見が遅れてしまいました。
誠に申し訳有りません。
うめ様も映画好きなんですね。
イオンシネマは子供向けのものが多く、
見たい映画がなかなかかかりません。
良いものはやはり大きなスクリーンですよね。。
にの字 2014/08/19(Tue)17:38:04 編集
お疲れ様
嵐のような日々、お疲れ様でした。小さな店で良い雰囲気が出ているようですね。昔は誰もが相手を思いやる心を持ち合わせていたのです。今でも、そういう方達がいらっしゃるのは嬉しいですね。
お節介といわれようとご近所の一人暮らしの方に声をかける!のと同じだと思いますよ。
どこでも何かお手伝いできることありますか?と、気軽に声をかけられるような気持ちを皆が持っていたいですね!
しじみのカアサン 2014/08/20(Wed)09:01:01 編集
ホントにそうですな
昔は困っている人がいると、すっと手を差し伸べる者が必ず居たもんです。
蕎麦屋やってるおかげで良いことと巡り会えます。
今日も入ってきたお客さんが、「のっちゃん!」と声を掛ける。
誰か分からずぼーっとしていると、
「神居の江尻だよ!」記憶が猛スピードで50年前に突っ走りました。
お寺の悪ガキ、江尻修譲くん。
弟の法譲くんを伴いわざわざ会いにきてくれた。
神居の十字街で、毎日暗くなるまで走り回っていた話をしました。
別れ難かった!!
にの字 2014/08/21(Thu)01:48:21 編集
懐かしい…
わざわざ訪ねてくれたのですね!嬉しいこと。
私と同級生だった誠子さんのご主人もお蕎麦屋さんだったと思います。永山の方のお店に一度寄ったことがありました。その後どうしていらっしゃるかしら?
修ちゃん、法ちゃん、立派なお坊さんになったのでしょうね。江尻さんのお宅はお寺だったけど、何かにつけて遊びに行ってました。お盆の頃には悪いことをすると地獄のえんま様が待っている…との絵を幻灯機で見せてくれたりと、いつも近所の子ども達が集まってましたね。
こちらに居ると旭川時代の人には滅多に会えないです。このブログで色々と話が聞けて嬉しいですよ。
しじみのカアサン 2014/08/21(Thu)08:54:43 編集
仏様のお供物
落雁をもらってよく食べたもんです。
なかなか飲み込めず目を白黒させながら!
修譲クンは寺の跡継ぎを弟に任せ、
京都で別な道を歩んだようです。
彼らしいですな。
にの字 2014/08/23(Sat)03:53:41 編集
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