忍者ブログ
http://www5.plala.or.jp/soba-ninoji/
[296]  [295]  [294]  [293]  [292]  [291]  [290]  [289]  [288]  [287]  [286
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

子供の頃、魚が得手ではなかった。
だが、鰊漬の中に入った身欠き鰊の切れ端は別物。
少し渋いあの味が好きで、そればかり選り分け食べて母親に怒られた記憶がある。
大きめに切られた大根も旨い。
しんなりと芯まで軟らかく漬かったキャベツも美味しい。
麹の白と色見のいい人参の千切りも甘い。
まさに漬物の中の横綱である。
雪混じりの木枯らしが吹き始める頃、
隣近所の母達は帆前掛けを締め、手押しポンプの有る井戸端に集まり漬物を作る。
何時もと違う光景に子供たちははしゃぎ走り回り叱られる。
そんな遠い昔の記憶を呼び戻してくれるのもこの鰊漬。
自分でもと3年前から挑戦しているが、今年初めて人様にお勧めできるモノが出来た。
自家製の塩麹を使ったのが良かったよう。
酸味がつく前に食べてしまおうと、お客さんにお出しすることなく自分たちのお腹に収まってしまった。
当店のパートさんは三人とも主婦である。
だが漬物は誰も漬けないという。
食べたくなったらコンビニで買うんだそう。
同じようにお茶もコンビニで買い求める商品の代表らしい。
『もったいねぇだろ!100円分のお茶っぱがあれば何本できると思う?』
などと言ってみても、手っ取り早い便利さに全身侵された連中には通じる筈もない。
学校から帰ってきて玄関の引き戸を開けると、
近所のおばさん達のにぎやかな話し声と漬物の匂いが漂ってくる。
それぞれ自慢の漬物を持ち寄る『お茶のみ』と称する集まりである。
毎日の暮らしに追われる中、母達のほんのささやかな楽しみだったのであろう。
コンビニのペットボトルと漬物パックでは絵になりません。
大体が今時の主婦の皆さんの集まりは『ランチ』。
夫に500円の弁当代を渡し、自分は1000円を超えるイタリアンの『ランチセットA』。
『これは別腹よねぇ~』と食後のデザートも頼み、3時ごろまでお喋りに花を咲かす。
当店は決してそんなお客様を敬遠している訳ではない。
むしろ混雑する時分どきを過ぎた時間帯には大歓迎である。
だが蕎麦屋というものは、『神田まつや』のように相席そのものが当たり前、
運ばれてきた蕎麦は三分で手繰り、入ってから十五分で店を出る。
なんていう使い方がやはり粋だと思うのです、自分は。





PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新CM
[10/08 JUNJUN]
[03/11 replica cartier santos review]
[01/16 NONAME]
[01/09 Kawa]
[09/14 だて]
最新TB
プロフィール
HN:
にの字
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
アクセス解析
Copyright © 蕎麦日記 All Rights Reserved.
Designed by north sound
Powered by Ninja Blog

忍者ブログ [PR]