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鴨南蛮が好きだ。
鴨の脂が汁に溶け、蕎麦と絡み合って口の中を幸せにする。
地鶏でも銘柄豚でも出すことの出来ない味、
この素晴らしき鴨南ワールド。
江戸時代の後期から登場した蕎麦屋の品書きのようです。
当時は今みたいな合鴨なんてのは無いので、
そこいら辺の川や沼に居る野生の鴨を捌いて使っていたのでしょうから、
すごく濃厚な汁の味だったと思われます。
その味を調整するために焼いて香ばしさを出した葱を入れたり、
薬味に山椒を使うようになったんでしょうな。
現在蕎麦屋の多くで使われている合鴨は、
少なくはなっているものの独特の癖はまだあります。
それを抜くために鴨肉を切った後、一枚一枚日本酒で煽る。
煽った鴨肉は6割ぐらいの火の通り方で冷凍保存。
注文が入る度、別に誂えた濃厚鴨汁ペーストと合わせた汁でさっと煮込みお出ししています。
肉の厚さの割りに『どうしてこんなに柔らかいの?』
と不思議に思われる『にの字』の鴨南には、
そんな企業秘密があったのです。
鴨南のもう一つの楽しみ。
それは鴨の脂で焼き付けた葱の旨さ。
『鴨は要らねぇから、葱をたっぷり入れてくれ!!』
以前そんな鴨南の注文をしたお客さんがいましたが、
気持ち分かります。
涼しい秋風が吹き始めると本格的な『鴨南』の出番です。
鴨が葱背負ってお待ちしています。
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